読者
    レポート
    兵庫県立美術館「不思議の国のアリス展 神戸展」
    兵庫県立美術館 | 兵庫県

    兵庫県立美術館「不思議の国のアリス展 神戸展」

    文 [エリアレポーター]tomokoy / 2019年3月15日
    「不思議の国のアリス展」が兵庫県立美術館で開催されています。

    ずっと昔、奇妙な世界に引きずり込まれるようにして読んだ物語。
    170か国以上で翻訳されたこのお話、さし絵もたくさんの人によって描かれ、アニメーションや映画にもなっています。
    なぜこのお話がこれほど人々を惹きつけるのか、多様な作品を通じて探り出そうという展覧会です。

    展示は3つの章で構成されています。
    第1章は、始まりの話―アリス誕生。

    不思議の国のアリスは、作者のルイス・キャロルが、アリスという名の実在の少女に語って聞かせた物語をまとめたもの。

    こちらは、キャロル自身によるスケッチです。アリスの姿も描かれています。
    (神戸会場のみの展示です)


    ルイス・キャロル「『アリス』のスケッチ」©The Governing Body of Christ Church, Oxford
    物語の中のアリスの容姿について、かなりはっきりとイメージをもっていたようです。

    展覧会の広告では、最初に本が出版された時のさし絵が使われています。ジョン・テニエルというさし絵画家によるもの。



    これは、アリスが抱っこしていた赤ちゃんが子ブタに変わってしまった場面。
    さし絵にこだわりのあったキャロルは、テニエルの絵にも細かく注文をつけていたそうです。

    アリスの物語は人気を呼び、その後もさまざまな画家が手がけました。こちらに並んでいる本は、その一部。



    多くの言語に訳されただけでなく、同じ言語でも多くの翻訳が出ているのがこの本の特徴だそうです。
    調べてみると、日本でも意外な文豪が訳していたりして驚きます。

    第2章は、アリスの物語―不思議の国への招待。

    キャロルは「不思議の国のアリス」と、その続編にあたる「鏡の国のアリス」を書きました。
    2つの物語の見せ場を、7人のアーティストが描いています。

    こちらのさし絵は、ほのぼの明るい印象です。


    ヘレン・オクセンバリー「『不思議の国のアリス』第7章より《へんなお茶会》」©Helen Oxenbury
    第1章で紹介されたアリスと比べると、かなり現代的。
    ヘレン・オクセンバリーという絵本作家によるものです。

    第3章は、アートの国―世界が愛する永遠のアリス。
    本を飛び出し、映画やアニメーション、写真や絵画などで表現されたアリスです。

    映画化されたもの(1908年制作、約8分)もあり、会場で見ることができます。
    奇妙な扮装をした人(人以外も)が動きまわっていて、なんとなくのどかな雰囲気です。

    こちらは、ロシアの写真家による作品です。


    ウラジミール・クラヴィヨ=テレプネフによる作品
    小説が映画化されたものなどを見て違和感を覚えることがありますが、こちらは原作のイメージ通り。作者のキャロルも感心するのでは?


    (左)清川あさみ 《青いイモムシ》 (右)《涙の池》
    これも、もうひとつのアリスの世界。スパンコールやレースなども使われていて、華やかな雰囲気。 作者は清川あさみさんです。

    このコーナーでは、ダリによる抽象画のような絵や、草間彌生さん、版画家の山本容子さんらの作品も展示されています。

    百花繚乱の展示を見ていると、この物語の何が、これほどたくさんの人を惹きつけるのかな、と思います。

    物語は、最後にアリスが夢から目覚めて、すべて夢の中の出来事だったと気づくところで終わります。
    おかしな登場人物、脈絡のないストーリー、あっけない幕切れ…。

    目覚めたときに忘れてしまっているだけで、わたしたちもアリスと同じような夢を見ているのかも。
    どうしても思い出せない何かがあるから、心が惹かれて、“自分のアリス” を描きたくなるのかな…という気がします。



    会場兵庫県立美術館 ギャラリー棟 3F
    開催期間2019年3月16日(土)~2019年5月26日(日)
    休館日月曜日(ただし、4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)
    開館時間10:00~17:00、(最終入場は閉場の30分前まで)
    所在地兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通 1丁目1番1号
    050-5541-8600
    HP : http://www.alice2019-20.jp/
    料金一般 1,400円、高校・大学生 1,000円、小・中学生 600円
    展覧会詳細へ 「不思議の国のアリス展 神戸展」 詳細情報
    エリアレポーターのご紹介
    tomokoy tomokoy
    京阪神を中心に、気になる展示をぷらぷら見に出かけています。
    「こんな見方も有りか」という感じでご覧いただければと思います。

    エリアレポーター募集中!
    あなたの目線でミュージアムや展覧会をレポートしてみませんか?
    会場
    兵庫県立美術館
    会期
    2019年3月16日(土)〜5月26日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00 (特別展開催中の金曜日と土曜日は20:00まで)
    ※入場は閉館の30分前まで
    休館日
    月曜日(ただし、4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)
    住所
    〒651-0073 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1 (HAT神戸内)
    電話 078-262-1011
    公式サイト http://www.alice2019-20.jp/
    料金
    一般 1,400(1,200)円 / 高校・大学生 1,000(800)円 / 小・中学生 600(400)円

    ※( )内は前売券および20名以上の団体料金
    ※小学生未満無料。金額はすべて税込み。
    ※障がい者手帳をお持ちの方は、本人と介添えの方1名まで当日料金の半額。他の割引とは併用できません。
    ※当日券と前売券は、ローソンチケット(Lコード53878)、チケットぴあ(Pコード992-018)、セブンチケット、CNプレイガイド、阪神プレイガイド、チケットポートほかにて販売。
    ※当日券の販売期間は2019年3月16日(土)~5月26日(日)、前売券の販売期間は2019年1月19日(土)~3月15日(金)

    【特別先行前売券】※HARD ROCK CAFE ピンズ付き前売券
    一般 3,200円 / 高校・大学生 2,800円 / 小・中学生 2,400円

    ※特別先行前売券は、2018年12月15日(土)~2019年3月15日(金)の期間に、ローソンチケット(Lコード:53878)で販売。
    展覧会詳細 兵庫県立美術館「不思議の国のアリス展 神戸展」 詳細情報
    このレポートに関連する巡回展
    兵庫県
    2019年3月16日(土)〜5月26日(日) 兵庫県立美術館
    福岡県
    2019年12月3日(火)〜2020年1月19日(日) 福岡市美術館
    静岡県
    2020年2月1日(土)〜3月29日(日) 静岡市美術館
    新潟県
    2020年6月27日(土)〜9月6日(日) 新潟市新津美術館
    おすすめレポート
    学芸員募集
    (公財)サントリー芸術財団 サントリー美術館 職員(運営担当)募集 [サントリー美術館]
    東京都
    読売新聞東京本社事業局 中途採用者募集! [読売新聞東京本社(大手町)]
    東京都
    笠間日動美術館 学芸員募集中! [笠間日動美術館]
    茨城県
    さいたま市職員採用選考【学芸員(考古)】 [さいたま市教育委員会等]
    埼玉県
    人と防災未来センター 震災資料専門員(会計年度雇用職員)の募集 [人と防災未来センター 資料室]
    兵庫県
    展覧会ランキング
    1
    東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリー アーモ) | 東京都
    逆境回顧録 大カイジ展
    もうすぐ終了[あと11日]
    2024年3月16日(土)〜5月12日(日)
    2
    大阪中之島美術館 | 大阪府
    没後50年 福田平八郎展
    もうすぐ終了[あと5日]
    2024年3月9日(土)〜5月6日(月)
    3
    東京オペラシティ アートギャラリー | 東京都
    宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO
    開催中[あと46日]
    2024年4月11日(木)〜6月16日(日)
    4
    SOMPO美術館 | 東京都
    北欧の神秘 ― ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画
    開催中[あと39日]
    2024年3月23日(土)〜6月9日(日)
    5
    国立西洋美術館 | 東京都
    モネ 睡蓮のとき
    開催まであと157日
    2024年10月5日(土)〜2025年2月11日(火)