盛岡南部家の生き方・第3部

今年は近代日本の幕開けともいえる「明治」が始まって、150年という節目の年になります。「明治」という時代をどのように位置づけるかは、個人の考え方や歴史観によって様々でしょう。しかし間違いなく日本は150年前に大きな変革の一歩を踏み出しました。国内外の脅威に揺さぶられた江戸幕府が崩壊し、新たな明治政府は日本の近代化を目指し急進的な改革を進めました。この「明治維新」と呼ばれる一連の動きは、当然のことのように中央の明治政府からの視点で語られますが、全国的・地域的な視野がなければ見えてこない一面もあります。もちろん盛岡にも幕末・明治維新の激動はあったはずですが、その実態やそこにいたるまでの細かな経緯などは、あまり知られていません。 盛岡出身で総理大臣となった原敬は、戊辰戦争を「政見の異同のみ」と総括し、「官軍」「賊軍」という不毛な対立軸を否定しました。現代を生きる我々は今こそこの言葉の意味を考え、日本の近代化の本質を見極める必要があるのではないでしょうか。その糸口として本展では、かつて「賊軍」といわれた盛岡藩の動きを改めて見直してみたいと考えています。当館では平成28年度より、歴代の盛岡南部家当主（盛岡藩主）を軸に、盛岡の歴史を紐解く企画展「盛岡南部家の生き方」を開催しています。本年はこの完結編として11代利敬・12代利用・13代利済・14代利義・15代利剛・16代利恭、6人の事績を追いながら、教科書では描かれない江戸時代後期から幕末・明治維新期にいたる激動の盛岡をご紹介します。