特別展「仏像の姿」~ 微笑む・飾る・踊る~

仏像鑑賞、三つのポイント

しばしば開催される、仏像を主軸にした美術展。その多くは地域や時代、宗派などが切り口になりますが、三井記念美術館で開催中の本展は「仏像の形態」そのものがテーマです。「顔」「装飾」「動きとポーズ」に着目し、仏師の感性と技術に迫ります。

  • 《迦陵頻伽立像》室町時代・15世紀 個人蔵
  • 重要文化財《四天王眷属立像(東方天眷属・南方天眷属)》康円 鎌倉時代・文永4年(1267) 東京国立博物館
  • (左から)重要文化財《薬師如来立像》奈良時代・8世紀 滋賀・聖衆来迎寺 / 重要文化財《菩薩立像》飛鳥時代・7世紀 東京藝術大学
  • 《不動明王立像》鎌倉時代・13世紀 個人蔵
  • (左から)重要文化財《大日如来坐像》平安時代・12世紀 東京国立博物館 / 重要文化財《如来立像》平安時代・10世紀 滋賀・若王寺
  • 《十二神将立像(子神~巳神)》鎌倉時代・13世紀 奈良国立博物館
  • 《伽藍神立像》鎌倉時代・13世紀 奈良国立博物館
  • 模刻(復元)宝菩提院《菩薩半跏像》中村恒克 原本・平安時代 神奈川・光明院
  • (左から)模刻(現状・復元)東京国立博物館《日光菩薩半跏像》、東京藝術大学《月光菩薩半跏像》白澤陽治 原本・奈良時代 個人蔵 / 模刻(現状)興福寺《八部衆立像のうち乾闥婆立像》小沼祥子 原本・奈良時代 個人蔵

信仰の対象として、大切に守られてきた仏像。近年は美術館で仏像を鑑賞する機会も増え、その造形性への注目は増すばかりです。

仏像を鑑賞するポイントとして、本展では三つの視点をピックアップ。最も重要な部位である「顔」、彩色や装身具などの演出が見られる「装飾」、微妙な所作も含めた「動きとポーズ」で、より深く仏像に親しんでいただこうという試みです。

会場は章ごとの分類ではなく、いにしえの仏像と、模刻・修復作品、あわせて58件が出陳。ひとつひとつの仏像に「見どころ」がワンポイントで解説されている、仏像初心者にも優しい構成です。

《観音・勢至菩薩立像》(神奈川・称名寺、神奈川県立金沢文庫保管)は、ともに少し膝を曲げた前屈み。両像で上体の傾きがやや異なるなど、仏師のこだわりが見て取れます。

展示室2には、展覧会メインビジュアルの《不動明王立像》(個人蔵)が。左側を睨みつけ、派手に見栄を切っています。美しい彩色が残っており、鎌倉時代に造立された姿を今に伝えます。

大きな展示室4では、重要文化財《阿弥陀如来及び両脇侍像》(大阪・四天王寺)に注目。両脇侍像は対照的に膝を曲げた、片足立ちのスタイル。“けんけん”をしているようです。

展示室5の《伽藍神立像》(奈良国立博物館)も、珍しいポーズ。かつては「走り大黒天」と呼ばれていた像で、翻った衣も躍動感を強調しています。右手と右足が前に出る「ナンバ走り」になっているのも気になります。



会場後半は、仏像の模刻作品や修復作品。東京藝術大学保存修復彫刻研究室(籔内佐斗司教授)とのコラボで、制作者側(仏師)の目線も紹介されています。

十二神将立像(奈良・東大寺)の「子神立像」の模刻制作において三次元計測を行ったところ、「丑神立像」と酷似している事が判明。共通の図面が用いられた可能性も指摘されています。

仏画や仏具の展示はなく、文字通り仏像だけを特集した展覧会。ちょっと恥ずかしいですが、仏像の所作を真似しながら鑑賞するのもおススメです。巡回はなく、三井記念美術館だけでの単独開催となります。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年9月14日 ]

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ミュージアムの詳細

展覧会の詳細

会期

2018年9月15日(土)~11月25日(日)