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教育新聞特集 「21世紀の博物館」
〜 21世紀の博物館 5 〜

個 人 対 応 を 進 め る

みんぱく電子ガイド
(携帯情報端末)
丹青研究所 情報開発研究部
石川 貴敏


− ITの発達で「博情化」へ −
 
携帯端末片手に館内を巡り歩く

 「博情館」−。1970年代後半に提示された、「物」が集積された「博物館」から「事物情報」が集積された「博情(報)館」へと変革を遂げるべきとの考えを込めた言葉である。
 最近では、情報通信技術(IT)の発達により、「博情館」化する施設が増え、資料と情報をより効果的に利用者に提供しようとする試みが次々と見受けられている。昨年5月13日より運用が開始されている国立民族学博物館の「みんぱく電子ガイド」はその代表的な事例である。
 この電子ガイドは、B5サイズ(約1kg)の携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assitant)を用いて、展示品や展示コーナーについて文字情報、静止画、動画、音声で解説してくれる新しい展示手法である。観覧者が端末を手に展示室を歩くと、赤外線投光機から端末に位置情報が送られ、その場に展示してある民族資料を実際に使っている映像などが端末の画面に表示される。同館の15の展示コーナーには、1本30秒程度にまとめられたコンテンツが計300本も用意されており、豊富な解説プログラムを観覧者が自ら選ぶことができる。これには、情報はパーソナルに対応していかなくてはならないという発想が見られる。
 館内で興味や疑問を抱いた瞬間に即時に対応できる、個々の学習意識に応じたシステムとしてだけでなく、外国人(多言語解説)や障害者(弱視者への拡大表示)への対応といった点からも注目したい手法である。
 PDAを用いた展示手法は、1997年以来、次々にコンピュータ技術を用いた先駆的な取り組みを見せている東京大学総合研究博物館や、1998年に実験的な導入を試みた横浜市歴史博物館で採用されている。
 昨年9月に、東京都葛西臨海水族園で実験的に導入された「ハイブリッド水族館」は来園時だけではなく、その前後(予習・復習)も視野に入れた個人学習への対応を図ることを目的に開発されたシステムである。
 水族園に出かける前に、あらかじめホームページ上で水族園の展示内容等を予習し、来園時には貸し出された携帯情報端末によって園内の現在位置や利用者の好みに応じたコンテンツを得ることができる。来園後には、来園時の巡回履歴を基に自動的に生成されたホームページ上で自分だけの学習を行うこともできるというシステムである。
 事前に割り当てられた個人専用のパスワードを入力することで、自分だけの学習プロセスをたどることができるのが特徴である。
 来年度には全ての公立学校がインターネットに接続できる時代が到来する。「総合的な学習の時間」の導入とともに、インターネットを活用した展開はますます豊かなものになるだろう。特に、インターネットの双方向性を活かした展開が必要とされるため、「学習素材の宝庫」と言われる博物館側もハード(機器面)、ソフト(運営面)両面で十分に備える必要がある。
 博物館において資料(モノ)は重要である。実物資料の伝える魅力は時代を超えて価値を持ち続けるはずである。と同時に、資料を中心とした情報センター、学習センターとしての役割も博物館には求められている。
 情報化が進むに連れて「バーチャル」に対する反発等も聞かれるが、博物館や資料の魅力を引き出す「アシスタント」として情報通信技術を有効に活用する、「博物館」であり「博情館」でもある施設が、これからの博物館像になるのではないかと考える。「The Internet is for Everyone ―インターネットは全ての人々のために」と言われているのと同じく、「The Museum is for Everyone」の時代であるのだから・・・。

【教育新聞 2000年9月11日 掲載】
[ 4 教育の道具として ] [ 6 体験型観光で学習 ]
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