【競 演 近代日本画 新旧コレクションの魅力】
恒例の近代日本画を一堂に展示するコレクション展を開催。大谷竹次郎コレクションの優品と、昨年度の新収蔵作品をはじめ近年収集した作品を紹介します。新・旧コレクションの「競演」をおたのしみください。
[旧]西宮市大谷記念美術館の近代日本画コレクション
当館所蔵品の基礎となる大谷竹次郎コレクションは日本とフランスの近代絵画を中心に構成されています。そのなかで日本画は、竹内栖鳳、山元春挙、上村松園、橋本関雪といった京都画壇の画家ばかりではなく、横山大観、川合玉堂、伊東深水ら東京で活躍した画家の作品も多く含まれています。このたびは東西両画壇の優品を中心に約15点の作品を紹介します。
[新] コレクションの充実と個性派の画家たち
1972年11月の開館以降も当館では入江波光、西村五雲、菱田春草などの作品収集を徐々に進め、コレクションの充実に努めました。さらには、西宮に画室を構え油彩画の技法を果敢に採り入れて独自の画境を切り拓いた異色の画家山下摩起や、中国遍歴を機に従来の南画とは一線を画した風景作品を手がけた福田眉仙、前衛日本画グループ「パンリアル美術協会」の中心メンバーとして活躍し斬新な作品を次々と世に出した下村良之介ら、関西で活躍した個性派の画家たちの作品も加わりました。このたびは山下摩起の新収蔵作品をはじめ、開館以後に収集した作品約20点を紹介します。
◯【特集展示】 没後10年 奥田善巳 − ネガとポジ・空間と平面 −
1931年京都府に生まれた奥田善巳は、1960年代より神戸を拠点に活躍した現代美術作家です。当初は立体作品やドローイングによるコンセプチュアル(観念的)な作品を制作していましたが、1980年代以降は抽象表現による油彩画を発表します。黒の地塗りに単色の絵の具で彩られた画面は、極めてシンプルな構成ですが、鮮烈な色彩と力強いストローク(筆跡)により、見る者に強い印象を与えます。
このたびの特集展示では、没後10年ならびに作品の受贈を機に、当館で所蔵する主に1960年代から90年代にかけて制作された作品約30点を紹介します。生誕日に当たる2月27日[土]には奥田善巳と関わりの深かった植松奎二氏(現代美術作家)と当館館長による対談を開催します。