企画展示「舞台の花鳥風月ー装いの美ー」

    伝統芸能情報館 | 東京都

     「花鳥風月」は世阿弥による能楽理論書『風姿花伝』中の「花鳥風月の事わざ、いかにもいかにも細かに似すべし」に由来するといわれます。貴人の上品で雅やかな趣を写す演技について述べた一部分ですが、「花鳥風月」が四季折々の花の美しさを愛で、爽やかな鳥のさえずりに耳を傾け、月の満ち欠けに神秘を見出すなど、自然の風景に親しむ心を意味するとともに、それらを題材に詩歌管弦を創作する芸術活動をも表わす言葉として用いられてきたことがわかります。  自然も人もみな不変ではなく、移ろいがあるところに美を見出す感覚は、四季を過ごす日本人独特の感性と考えられています。舞台で展開される芸能も、その瞬間にしか観られない表現の美を愛おしむ芸術、つまり舞台芸術を創ること、観るという行為そのものが、実は「花鳥風月」といえるでしょう。  近世から現代まで日本で成り立ち、展開してきた芸能には、表象としての「花鳥風月」が大いに採り入れられ、舞台を彩ってきました。そして、芸能関係資料からは、舞台を支えるものとしてそれらがいかに重要な位置づけにあったかが伝わってきます。月明りや雪、雷、山々や海水、花木などを描く舞台装置、四季の花々をあしらった衣裳や鳥や蝶など自然界の生き物を表現した小道具などが季節の移ろいや登場人物の心象を表現させます。なかでも役者たちが舞台における装いのなかにそれらの美を採り入れようと工夫する姿には、「花鳥風月」本来の精神性が見いだされます。  今回の企画展示では、装いの美を追究した舞台製作者や役者たちの工夫の軌跡を文献や錦絵、楽屋の模様、衣裳や鬘、装身具、舞台写真等にたどりつつ舞台の花鳥風月を愛でる構成となっております。  私たちは今、世界が未曾有の感染症拡大に脅かされた時代に生きていますが、それでも季節の花の色を目にし、虫の声を耳にしたとき、悠久の自然に慰められることがありましょう。この会場が舞台に表現された日本の美意識を探り、味わっていただけるひとときを提供できれば幸いに存じます。 監修:吉田弥生(フェリス女学院大学教授)
    会期
    2021年10月2日(土)〜2022年1月27日(木)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    料金
    無料
    休館日 12月29日(水)~2022年1月2日(日)
    公式サイト https://www.ntj.jac.go.jp/tradition/event/2176.html
    会場
    伝統芸能情報館
    住所
    〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
    03-3256-7061
    おすすめレポート
    学芸員募集
    (公財)サントリー芸術財団 サントリー美術館 職員(運営担当)募集 [サントリー美術館]
    東京都
    読売新聞東京本社事業局 中途採用者募集! [読売新聞東京本社(大手町)]
    東京都
    【公益財団法人ポーラ伝統文化振興財団】学芸員募集 [ポーラ伝統文化振興財団(品川区西五反田)141-0031 東京都品川区西五反田2-2-10 ポーラ五反田第二ビル]
    東京都
    丸沼芸術の森 運営スタッフ募集中! [丸沼芸術の森]
    埼玉県
    【東京国立博物館】教育普及室 有期雇用職員募集中! [東京国立博物館]
    東京都
    展覧会ランキング
    1
    大阪中之島美術館 | 大阪府
    没後50年 福田平八郎展
    もうすぐ終了[あと12日]
    2024年3月9日(土)〜5月6日(月)
    2
    東京オペラシティ アートギャラリー | 東京都
    宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO
    開催中[あと53日]
    2024年4月11日(木)〜6月16日(日)
    3
    東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリー アーモ) | 東京都
    逆境回顧録 大カイジ展
    開催中[あと18日]
    2024年3月16日(土)〜5月12日(日)
    4
    佐川美術館 | 滋賀県
    ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―
    開催中[あと46日]
    2024年3月30日(土)〜6月9日(日)
    5
    SOMPO美術館 | 東京都
    北欧の神秘 ― ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画
    開催中[あと46日]
    2024年3月23日(土)〜6月9日(日)