美術館や博物館の原型とされる、16世紀ヨーロッパで流行した「驚異の部屋 (ヴンダーカマー)」には、大航海時代を背景に、絵画や彫刻に加え、動物剝製や植物標本に貝殻、地球儀や天球儀、東洋の陶磁器など、世界中からあらゆる美しいもの、珍しいものが集められていました。「驚異の部屋」は、未だ知らぬ広大な世界を覗き見ることができる、小さいけれど壮大な夢と好奇心を刺激する部屋でした。近年美術の分野でも、文化人類学的、自然博物学的、歴史研究的手法に基づく、博物学的な作品が多く見られるようになっています。事物や資料を映像や彫刻などとともに編集し、構成するそれらの作品は、収集と展示の背後で作用する力、分類と分析に基づく世界の把握の仕方、また作品や事物の保存・継承と伝統との関りを、現代の課題として照らし出します。
本展では 、美術館の隣にできる博物館の開館に向け、現在の「驚異の部屋 (ヴンダーカンマー )」を展開し、美術館・博物館の源流と新たな可能性を探ります。それぞれの作品は、歴史はいかに構築されるのか、伝統はどのように交差・変容していくのか、ローカルとグローバルの関係はどうなっていくのかといった、未来に向けた問いを投げかけるでしょう。
(公式サイトより)