第8回21世紀の作家-福岡 和田千秋「障碍の美術X-祈り」

    福岡市美術館 | 福岡県

     和田は、1957(昭和32)年大分市生まれ。九州産業大学芸術学部美術科に在学中の1980年、初めての個展を福岡市で開催。以降、福岡市内外で積極的に作品を発表し、有望な若手作家の一人として注目を集めます。この頃の和田は、自身も「美術の内的な必然性によって展開していく作品を作って」いたと言うように、色とかたちの戯れを重視した抽象的なインスタレーション作品を主に展開していました。 -転機が訪れたのは1987年のことです。  この年、和田は長男を授かりますが、間もなくその子には脳に障碍があると告げられます。和田は「子どもの障碍のことで頭がいっぱい」になり、「以前からの作品を作り続けることに興味を失って」しまいます。作家活動から遠ざかり、長男のリハビリテーションに明け暮れる日々が始まりました。  しかし数年後、和田を再び作品制作へと向かわせたのは、やはりわが子の障碍でした。「子どもの障碍から学ぶ内に」、「それを美術というかたちで社会に送り返せないだろうかと思うように」なったのです。そして生まれてきたのが「障碍の美術」シリーズなのです。  1992年に始まるこのシリーズにおいて和田は、もはや以前の作風を繰り返さず、絵画をはじめ既製品や文章なども利用した多様な表現形式を同時に展開し、自身の日常にある障碍の様々な問題を表現しようとしています。それは、一見美術とは縁遠い要素を取り込むことで、社会と隔絶されがちな現代美術の「リハビリテーション(社会復帰)」の試みでもあります。そして和田の「障碍の美術」シリーズは、この試みを本質として保ちながら、今日なお豊かな展開をみせていると言えましょう。  本展では、シリーズ10回目となる新作が発表されます。「祈り」とのタイトルももつ本作において、和田千秋はどのような新境地をみせてくれるのでしょうか。ご期待下さい。
    会期
    2008年1月5日(土)〜3月30日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:30(入館17:00まで)
    ※7月〜10月の金・土曜日は午前9時30分〜午後8時(入館19:30まで)
    料金
    常設展観覧料でご覧になれます。 一般200円(150円)、高大生150円(100円) ※小中生、療育手帳、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、福岡市発行のシルバー手帳保持者は無料。 ※( )内は20名以上の団体料金。
    休館日 月曜日(ただし1月14日(月・祝)、2月11日(月・祝)は開館し、翌1月15日(火)、2月12日(火)が休館)
    会場
    福岡市美術館
    住所
    〒810-0051 福岡県福岡市中央区大濠公園1-6
    092-714-6051
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