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国立科学博物館「南方熊楠 -100年早かった智の人-」

文 [エリアレポーター]コロコロ / 2017年12月19日
百面相のような南方熊楠(ミナカタクマグス)

「南方熊楠」という人物をご存知でしょうか?

ある時は「植物学者」、またある時は「民俗学者」。粘菌の研究で有名かと思えば、柳田國男と一緒に「神社合祀反対」を唱え、「エコロジー」という言葉を広めた人としても知られます。彼を知る多くの人は、森羅万象を探求した「研究者」としてとらえてきました。


フィールドワークによる森羅万象の研究

神社合祀反対活動

熊楠ってどんな人? エピソードもユニーク

交友関係もまた多彩で、僧侶や神社の宮司、学者、晩年は昭和天皇に御進講をすることにもなりました。人となりが伺えるエピソードを紹介します。

〇8歳で「和漢三才図会」105巻を書き写し
江戸時代の百科事典のようなもので、知人の家で見せてもらい覚えて帰って、記憶をたよりに写したというから驚きです。どんな頭の構造なのか不思議です。

〇緻密な抜書や書簡

ロンドンに渡り、大英帝国博物館で、図書室の書籍から書写

田辺時代の抜書 一行に2列、びっちり文字が書かれています

知人宛のはがきには、ロンドンの様子を絵にして送っています

研究中、真言宗の僧侶と知り合い、手紙のやりとりを重ね、南方マンダラという思想を深めていきました。

晩年には、粘菌の研究が昭和天皇のお耳にも届き、ご進講することになりました。その時に、粘菌(変形菌)の標本を進献するのですが、その箱がキャラメルの箱だったというのは、熊楠を知る人の間では有名な話のようです。そのキャラメルの箱が展示されています。



この写真から箱の大きさは、どれくらいだと思われますか? てっきり、一般的なキャラメルの箱だと思っていたのですが、かなり大きな箱でした。

熊楠は写真にも興味を持ち、たくさんの撮影をしています。その時に、必ず「人を入れて撮影」したそうです。写真は忠実に対象物を表現しますが、大きさを表すことができません。その弱点を見抜き、対照となるものを必ず入れて撮影するということを実践していました。


覗いてみよう 熊楠の頭の中

熊楠の「智の整理」をビジュアル化しわかりやすい展示がされています。



膨大な情報(文献)を収集し、そこから「抜書」することは今のコピペと同じです。そして関係する事項をリンクでつなぎ、原稿としてアウトプットしています。



こちらは、『十二支考「虎」』を出版した時の思考の流れを示しています。まず虎の語源や生物学的特徴、史話、民俗などあらゆる分野から情報を収集。その後、グループ化して関連づけ、流れをつなげている様子がわかります。


「智」の面白さを教えてくれた人 

生きる時代が早すぎた人。時代がやっと彼に追いついてきました。森羅万象を探求する「自然科学者」から、広く資料を収集し、蓄積して提供しようとした「情報提供者」という評価に変化しました。

しかし単なる情報提供に留まっていません。いかに使いこなし新たなものを生み出すか。そして、「智」の真の意味や価値を教えてくれているように思います。

今のサイバー空間を先取りしたかのような熊楠の頭の中。人の評価を気にせず自らが楽しめ! という今のネット社会への警鐘も含まれているように思います。大切なのは論文を発表して認められることでも、イイネをもらうことでもない。「自らの“智”を求めて、楽しむことが大切」というつぶやきが聞こえる展示でした。

会場国立科学博物館
開催期間2017年12月19日(火)~2018年3月4日(日)
休館日毎週月曜日、 12月28日(木)~1月1日(月)、1月9日(火) ただし、1月8日(月)、2月12日(月)は開館
開館時間午前9時~午後5時(金曜日、土曜日は午後8時まで) ※入館は各閉館時刻の30分前まで
所在地東京都台東区上野公園7-20
03-5777-8600 (ハローダイヤル)
HP : http://www.kahaku.go.jp/event/2017/12kumagusu/
料金一般・大学生:620円、高校生以下および65歳以上:無料
展覧会詳細へ 「南方熊楠 -100年早かった智の人-」 詳細情報
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