インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  エリアレポート  >  アイ・チョー・クリスティン 霊性と寓意

金沢21世紀美術館「アイ・チョー・クリスティン 霊性と寓意」

文 [エリアレポーター]カワタユカリ / 2018年4月27日

大きな画面に激しい筆跡とは裏腹に、小柄な女性。
インドネシアの現代アーティストであるアイ・チョー・クリスティンが目の前に現れた時は、ギャップに驚きました。

日本の美術館で初めて大規模な個展が開催されています。
テキスタイルデザイナーとしてキャリアを積み、2000年ごろから作家として活動を本格化させた彼女。
油絵、版画、大型のインスタレーション、そしてソフトスカルプチャー(布や糸のような繊維や、ゴムなどの柔らかい素材で制作された彫刻や立体作品のこと)など、新作を含め約50点の作品が並びます。




《転がるようにして家にたどり着いたら》2012 油彩、カンヴァス/170×200 個人蔵 © Ay Tjoe Christine, courtesy of Ota Fine Arts

展示風景

《Lama Sabakhtani #01》2010 木、金属、ワイヤー、真鍮玉 / 430x250x400 作家蔵 © Ay Tjoe Christine, courtesy of Ota Fine Arts
この写真の作品は、十字架にかけられたイエス・キリストからインスピレーションを受けています。ギロチンが落ち、まわりに吊られている真鍮玉が揺れる様子は、ぶるっ、寒いものが走ります。

アイ・チョーは、「どんなに酷くつらいことがあっても乗り越えることが必ずできる」と解説します。十字架にかけられたイエスの復活を意味しているのでしょうか。処刑された場面だけを連想していました。アイ・チョー自身はキリスト教徒なので、「復活」を示すことは、当然の流れなのかな、憶測ですが。

今回の展覧会で、私が魅かれたのは、《ルカ福音書の有名な1節 #1》。
放蕩息子が家を勝手に飛び出し、散財した挙句に家に戻るのですが、そんな息子でも、父親は愛情をもって迎えるという話が題材です。
壁に並ぶ小さな立体作品。それは「帰るための目印」を表現しています。


展示風景
この作品には、「必ず帰る場所がある」という意味が込められています。
「目印」から、生きる上での知恵と、懸命さが見えてきます。
祖国インドネシアに暮らしながらも、彼女は、民族としても、キリスト教徒としても少数派に属するため、差別や、つらい経験をしてきたそうです。
帰る場所(安らげる場所)は、アイ・チョー自身が一番求めてきたものであり、求めているものに見えます。

弱さと強さが見え隠れしていたり、未来への光の中に、影がつきまとっていたり・・・どの作品にも一貫して「人間性を問う」ことが底辺にあります。
作品の多くは、キリスト説話に基づいているため、キリスト教を知らないと理解が難しいかもしれません。
その上、彼女が暮らすインドネシアのことも、私はほとんど知らない・・・。
今更ながら気づきます。知らないというより、しっかり目を向けたことがないかもしれません。

彼女は、呑気に生きる私に一石投じてくれました。


展示風景

会場金沢21世紀美術館 展示室7-12、14
開催期間2018年4月28日(土)~8月19日(日)
休館日月曜日(ただし、7月16日、8月13日は開場)、7月17日(火)
開館時間10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)
所在地石川県金沢市広坂1-2-1
076-220-2800
HP : http://www.kanazawa21.jp
料金一般 1,000円、大生 800円、小中高生 400円、65歳以上 800円
展覧会詳細へ 「アイ・チョー・クリスティン 霊性と寓意」 詳細情報
エリアレポーターのご紹介
カワタユカリ カワタユカリ
美術館、ギャラリーと飛び回っています。感覚人間なので、直感でふらーと展覧会をみていますが、塵も積もれば山となると思えるようなおもしろい視点で感想をお伝えしていきたいです。どうぞお付き合いお願いいたします。

エリアレポーター募集中!
あなたの目線でミュージアムや展覧会をレポートしてみませんか?

取材レポート
町田市立国際版画美術館「美人画の時代―春信から歌麿、そして清方へ―」
美人画の時代
国立科学博物館「特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて」
特別展 ミイラ
明治神宮ミュージアム「天皇陛下御即位奉祝 明治神宮ミュージアム開館記念展」'
明治神宮M. 開館
渋谷区立松濤美術館「日本・東洋 美のたからばこ」
美のたからばこ
横浜美術館「オランジュリー美術館コレクション
オランジュリー
国立西洋美術館「ハプスブルク展
ハプスブルク展
太田記念美術館「ラスト・ウキヨエ 浮世絵を継ぐ者たち ―悳俊彦コレクション」'
ラスト・ウキヨエ
東京国立近代美術館工芸館「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション
竹工芸名品
東京国立博物館「正倉院の世界
正倉院の世界
五島美術館「特別展 美意識のトランジション ─ 十六から十七世紀にかけての東アジアの書画工芸 ─」
美のトランジション
東京都美術館「コートールド美術館展 魅惑の印象派」'
コートールド美術館
国立歴史民俗博物館「ハワイ:日本人移民の150年と憧れの島のなりたち」
ハワイ:日本人移民
上野の森美術館「ゴッホ展」'
ゴッホ展
神奈川県立近代美術館
ふたたびの「近代」
Bunkamura
リヒテンシュタイン
国立新美術館「カルティエ、時の結晶」
カルティエ
福田美術館「開館記念 福美コレクション展」
福田美術館 開館
パナソニック汐留美術館「ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン」'
デュフィ
三井記念美術館「茶の湯名椀『高麗茶碗』」'
高麗茶碗
寺田倉庫「STAR WARS™ Identities: The Exhibition」
スター・ウォーズ
ハラ ミュージアムアーク「加藤泉 ― LIKE A ROLLING SNOWBALL」
加藤泉
東京富士美術館「フランス絵画の精華」
フランス絵画の精華
エリアレポート MIHO MUSEUM「The 備前 ―土と炎から生まれる造形美―」
[エリアレポート]
The 備前
エリアレポート 名古屋市美術館「カラヴァッジョ展」
[エリアレポート]
カラヴァッジョ
エリアレポート 岐阜県美術館「リニューアルオープン特別企画」
[エリアレポート]
岐阜美リニューアル
エリアレポート 京都国立近代美術館「円山応挙から近代京都画壇へ」
[エリアレポート]
円山応挙
エリアレポート 秋田県立美術館 「特別展 キスリング展 エコール・ド・パリの巨匠」
[エリアレポート]
キスリング
エリアレポート 岡山芸術交流2019 「IF THE SNAKEもし蛇が」
[エリアレポート]
岡山芸術交流
エリアレポート 国立科学博物館「風景の科学展 芸術と科学の融合」
[エリアレポート]
風景の科学展
エリアレポート 横尾忠則現代美術館「横尾忠則 自我自損展」
[エリアレポート]
横尾忠則 自我自損
エリアレポート 中之島香雪美術館 「交流の軌跡―初期洋風画から輸出漆器まで」
[エリアレポート]
交流の軌跡
エリアレポート 県立神奈川近代文学館 特別展「中島敦展 ― 魅せられた旅人の短い生涯」
[エリアレポート]
中島敦
エリアレポート 東京オペラシティ アートギャラリー「カミーユ・アンロ 蛇を踏む」
[エリアレポート]
カミーユ・アンロ
第3回 インターネットミュージアム検定
B-OWND 工芸のマーケットプレイスミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2020年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
2019年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
ゴッホ展 ハプスブルク展−600年にわたる帝国コレクションの歴史 特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて 御即位記念特別展「正倉院の世界 ― 皇室がまもり伝えた美 ―」
ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道 カラヴァッジョ展 ラウル・デュフィ展 ― 絵画とテキスタイル・デザイン ― 特別展 「大浮世絵展 ー 歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演 ー」
博物館・美術館検索
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2019、グランプリは「つくぞう&つくみ」でした
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「猪」
グランプリは「ペッカリー(ヘソイノシシ)象形土偶」でした
人気の展覧会 ブログパーツ アクセス数が多い展覧会を地域別にご紹介、ご自由にどうぞ。
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2019 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社