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ポーラ美術館「ルドン ひらかれた夢 ―幻想の世紀末から現代へ」

文 [エリアレポーター]コロコロ / 2018年7月22日
ルドンのイメージを払拭する画期的な展覧会



ポーラ美術館では「ルドン ひらかれた夢」が開催されています。
これまでルドンのイメージは、奇妙な絵を描く人。
外的影響を拒絶した「孤高の芸術家」、心の奥の世界と向き合った画家。
そんなレッテルが張られていました。

近年の研究で、近代科学に目を向け、様々な情報を収集し、外部の影響を絶っていたわけではないことが判りました。

ルドンと言えば、奇妙な目玉。その目は、何を見ているのでしょう。
ルドンの描いた目や視覚に注目してみます。

会場で切り抜かれた「ルドン」の文字 隙間から見える世界は?



当時の科学的な知見、進化論や神話・聖書を交えたモチーフを描いた『夢のなかで』。
『種の起源』をもとに、生命の原初的なかたちや、未分化の生き物を描いた『起源』。
詩集『悪と華』を題材に人の顔と花を組み合わせた黒の世界が広がっています。
印象派が主流の時代、ルドンは差別化を図るため、戦略的に孤高の画家を演出ました。





印象派に対抗するよう黒の世界を描きます。




ルドンが生きた時代の空気

隣のブースは一転して明るくなり、印象派の光と空気が満ちています。
時代の空気の中でルドンを鑑賞。ポーラ美術館の収蔵がなせる展示です。




一方、下段の絵もルドン。色を使った景色も描きました。

気球の目は、上空から見る世界と空想の世界の融合

19世紀後半の科学は、「空を飛ぶ」夢をかなえ、気球を実現しました。
ルドンは時代の流れを敏感につかみ、特に科学の進歩による世界を着想源にします。
顕微鏡下から、気球上空へ俯瞰した世界を見ています。




気球から見た新しい現実の世界。同時に、その先に広がる想像の世界も膨らみます。
現実と想像の融合は、気球に目を描かせ、その目はさらに上空を見ています。
科学がもたらした世界をルドンがいかに見たか、目玉で示そうとしたのでしょうか?

花の中から見つめる無数の目

ルドンは10代で、植物学者クラヴォーから、科学的・哲学的な知見を得ました。
晩年に向けて、色彩を持つ花を描くようになります。
いつの時代もルドンの根底には、固い種が花となる現実と幻想がありました。
それは自然科学と哲学を行き来することと同じだったと思われます。

植物を通して、人間の身体と一体化させる。その表現の手法が目を描くことだったとか?
画家にとって視覚は、描く根源的なこと。
見るという行為そのものを「目を描く」という直接的な方法で、間接的に表現したのかもしれません。

晩年に向う頃、描かれた花。そこから無数の視線を感じます。



ルドンが実際に見た世界、想像した世界を、作品を介して見ると、ルドンの時代と今を行ききし、空想の世界とも交信する錯覚に…そして植物の目が、見つめ返してくることにも気づきます。
さらに未来の世界から、見つめられている感覚も…

背景をじっと見ていると吸い込まれます。
気付いたら絵の中に入り込んで、未来の人に見られている気がしました。

会場ポーラ美術館
開催期間2018年7月22日(日)~12月2日(日)
休館日会期中無休 ※ただし9月27日(木)は常設展示のみ観覧可能
開館時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
所在地神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
0460-84-2111(代表)
HP : http://www.polamuseum.or.jp/index.php
料金大人 1,800円、シニア割引(65歳以上) 1,600円、大学・高校生 1,300円、中学・小学生 700円
展覧会詳細へ 「ルドン ひらかれた夢 幻想の世紀末から現代へ」 詳細情報
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