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上野の森美術館「フェルメール展」

文 [エリアレポーター]松田佳子 / 2018年10月4日

展示会場風景
今年一番の話題の展覧会ともいえる「フェルメール展」が始まりました。
プレス内覧会も多くの人やカメラで大賑わい。美術界のお祭り騒ぎのようでした。
それもそのはず、フェルメールの作品は世界中で35点しか現存しないといわれているのに、そのうち8点(あと1点は1月9日から)もがここ上野の森にやってきたということですから、話題となるのも必然です。

本展はフェルメールの作品と合わせて、17世紀のオランダ絵画も紹介されています。
この時代はオランダの黄金時代でもあり、優れた絵画が制作された時期でした。
会場を入ってすぐはフェルメールと同時代のオランダ絵画がしばらく続きます。
あれ、フェルメールじゃないの?と、はやる気持ちを少し抑えて、じっくりとこちらも見ていただくことをお勧めします。
生き生きとした人物画、巧みな静物画、たくさんの魅力的な作品に出合うことができます。


左からパウルス・ボル《キュディッペとアコンティオスの林檎》1645-1655年頃 アムステルダム国立美術館 ヤン・ファン・ベイレイト《マタイの召命》1625-1630年頃 カタリナ修道院美術館
オランダ絵画の特徴のひとつは、写実性。
本物そっくりの描写に、思わず近寄って観たくなります。
こちらのヤン・ウェーニクスの《野ウサギと狩りの獲物》は、当時流行った「狩猟画」です。 野ウサギのふわふわな毛皮が見事に表現されています。


左からヤン・ウェーニクス《野ウサギと狩りの獲物》1697年 アムステルダム国立美術館 ヤン・デ・ボンド《海辺の見える魚の生物》1643年ユトレヒト中央美術館
また、フェルメールでもおなじみの「風俗画」もこの当時にはたくさん描かれました。
こちらは、ハブリエル・メツーの2作ですが、どうやら対になっているようです。
左の男性は手紙を書き、右の女性は手紙を読んでいます。彼から彼女へのラブレターなのでしょう。

それぞれの作品の中に描かれた「画中画」にもご注目ください。
男性側には「多情」や「欲望」を意味するヤギの絵が描かれており、女性の側には「荒れた海」の絵がカーテンで隠されています。
その後の2人の恋のゆくえが気になってしまいますね。


いずれもハブリエル・メツー1664-1666年頃 アイルランド・ナショナル・ギャラリー 左から《手紙を書く男》 《手紙を読む女》
階段を下るといよいよ、フェルメールの作品が一堂に会する「フェルメール・ルーム」が姿を現します。
すこし照明を落とした会場では、《マルタとマリアの家のキリスト》《ワイングラス》《リュートを調弦する女》《手紙を書く女》《手紙を書く婦人と召使い》《真珠の首飾りの女》《赤い帽子の娘》(※12月20日(木)までの期間限定展示)《牛乳を注ぐ女》の8点が観られます。


ヨハネス・フェルメール 左から《リュートを調弦する女》1662-1663年頃 メトロポリタン美術館 《ワイングラス》1661-1662年頃 ベルリン国立美術館
柔らかな光の中での人々の日常が、生き生きと描かれています。
《ワイングラス》では窓辺のステンドグラスが透明に輝いています。また、《牛乳を注ぐ女》の陶器に反射した光の粒は、室内のぬくもりを感じるようです。
当たった素材によって反射する光を描き分けているなんて、さすが「光の魔術師」とも形容されるフェルメールです。

フェルメールの面白さはその穏やかな光景の裏側に隠された寓意を知ることでもあります。
壁に掛けられた絵や地図、無造作に置かれた楽器やワインなどの小道具で、登場人物たちの置かれた状況を暗示しているとのことです。

おすまし顔の裏には、ハラハラドキドキの彼女たちの恋の駆け引きが見え隠れしています。
音声ガイドや小冊子でそれらを確認するのももうひとつの楽しみ方かもしれません。


ヨハネス・フェルメール 左から《手紙を書く婦人と召使い》1670-1671年頃 アイルランド・ナショナル・ギャラリー 《手紙を書く女》1665年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー


会場上野の森美術館
開催期間2018年10月5日(金)~2019年2月3日(日)
休館日12月13日(木)
開館時間9:30~20:30 (開館・閉館時間が異なる日があります)
所在地東京都台東区上野公園1-2
0570-008-035(インフォメーションダイヤル)
HP : www.vermeer.jp/
料金一般 2,500円、大学・高校生 1,800円、中学・小学生 1,000円、未就学児は無料。当日券は、前売日時指定券の販売に余裕があった入場時間枠のみの販売(前売り券の+200円)。
展覧会詳細へ 「フェルメール展」 詳細情報
エリアレポーターのご紹介
松田佳子 松田佳子
湘南在住の社会人です。子供の頃から亡き父のお供をして出かけた美術館は、私にとって日常のストレスをリセットしてくれる大切な場所です。展覧会を楽しくお伝えできたらと思います。

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