インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  エリアレポート  >  国立西洋美術館「ルーベンス展 ― バロックの誕生」

国立西洋美術館「ルーベンス展 ― バロックの誕生」

文 [エリアレポーター]松田佳子 / 2018年10月15日

入口風景
名作アニメ「フランダースの犬」の最終回で、主人公ネロが一目見たいと望み続けた絵画の前で愛犬パトラッシュとともにこと切れるという印象的な場面がありました。
その舞台となった聖母大聖堂の祭壇画の作者こそ、ルーベンスです。
世界的に偉大な画家としての評価の高さの割に、日本人にとって身近に感じられないことのひとつに、宗教をテーマにした作品が多いこともあるのかもしれません。

ルーベンスの生きた時代は、カトリックとプロテスタントの攻防の激しい時。
文字の読めない庶民にカトリックのすばらしさを理解させるために、ドラマティックでわかりやすい宗教画が必要でした。それがカラバッジョからルーベンスへと続くバロック美術の意義です。
宮廷から認められたほどの教養人であったルーベンスは、豊富な知識をもとに教義を人々に絵画で表現していきました。


(左から)ペーテル・パウル・ルーベンス《眠る二人の子供》 1612-13年頃 国立西洋美術館/ ペーテル・パウル・ルーベンス《幼児イエスと洗礼者聖ヨハネ》1625-28年頃 フィンナット銀行
宗教画や物語画の登場人物を描くには、人物描写の巧みさが必須です。
展覧会の初めの部屋では、子供たちを描写した絵が3枚ほど続きます。
西洋人特有のバラ色の頬を持つ子供たち。
あまりの愛らしさに頬を寄せたくなってしまうほどです。


ペーテル・パウル・ルーベンス《髭をはやした男の頭部》1609年頃 コルシーニ宮
こちらの絵は、同じ人物を3方向から描いたものの一枚だそうです。
大画面での物語表現をするために人物の描き方を鍛錬していたようです。
巻き毛や髭の筆運びがスムーズで、質感がリアルに伝わってきます。


ペーテル・パウル・ルーベンス《法悦のマグダラのマリア》1625-28年 リール美術館
多くの画家がテーマとして描いてきたこちらの《法悦のマグダラのマリア》。
キリスト教に詳しくない私にとって「法悦」という状況はなかなかピンとこないのですが、信仰によって霊的な体験をしたということだそうです。
それをぐったりとして生気のない様子で描いたこちらの作品は迫真の表現です。


(左から)ペーテル・パウル・ルーベンス《「噂」に耳を傾けるデイアネイラ》1638年 サバウダ美術館 / 《ヘラクレスの頭部》2世紀 カピトリーノ美術館 / ペーテル・パウル・ルーベンス《ヘスペリデスの園のヘラクレス》1638年 サバウダ美術館
観覧者との比較でどれほどの大画面かがお分かりいただけると思います。
当時はこれらの絵画が壮麗な教会や宮殿の中に飾られていたのでしょう。
まるで動きを瞬間で止めたような肉体や衣の躍動感。
画家を志したネロが憧れたというエピソードにあるように、人々に憧憬と畏敬の念を抱かせます。


(いずれとも)ペーテル・パウル・ルーベンス《マルスとレア・シルウイア》1616-17年 リヒテンシュタイン侯爵家コレクション
このように大きな作品の注文が次々とあったため、大規模な工房での作業は必然となります。
ルーベンスは工房の職人たちに的確に指示を出し、入念にチェックをしてクオリティーの高いものへと仕上げていったそうです。
絵が巧みであるという芸術家の側面に加え、人を率いるリーダーとしての力量も兼ね備えていたことが想像できます。


ペーテル・パウル・ルーベンス《エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち》1615/16年 リヒテンシュタイン侯爵家コレクション
キリスト教で知られた一場面を、まるで今そこで起こったかのように迫力ある大画面で描いたルーベンス。
その画力の確かさは、キリスト教をよく知らない私にも真に迫って伝わりました。
でももっと聖書の事を知っていたら、より楽しめることでしょう。
西洋美術を深く知るために、勉強を深めてみたいなとも思いました。


会場国立西洋美術館
開催期間2018年10月16日(火)~2019年1月20日(日)
休館日月曜日(ただし12/24、1/14は開館)、12/28~1/1、1/15
開館時間9:30~17:30、金、土曜日は20:00まで。 ※ただし11/17は17:30まで。 ※入館は閉館の30分前まで
所在地東京都台東区上野公園7-7
03-5777-8600(ハローダイヤル)
HP : http://www.tbs.co.jp/rubens2018/
料金一般 1,600円、大学生 1,200円、高校生 800円
展覧会詳細へ 「ルーベンス展 ― バロックの誕生」 詳細情報
エリアレポーターのご紹介
松田佳子 松田佳子
湘南在住の社会人です。子供の頃から亡き父のお供をして出かけた美術館は、私にとって日常のストレスをリセットしてくれる大切な場所です。展覧会を楽しくお伝えできたらと思います。

エリアレポーター募集中!
あなたの目線でミュージアムや展覧会をレポートしてみませんか?

取材レポート
上野の森美術館「フェルメール展」
フェルメール展
東京都美術館「ムンク展 ― 共鳴する魂の叫び」
ムンク展
国立西洋美術館「ルーベンス展 ─ バロックの誕生」
ルーベンス展
国立新美術館「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」
ピエール・ボナール
東京国立博物館「マルセル・デュシャンと日本美術」
M・デュシャン
東京国立近代美術館「アジアにめざめたら:アートが変わる、世界が変わる 1960-1990年代」
アジアにめざめたら
サントリー美術館「扇の国、日本」
扇の国、日本
出光美術館「江戸絵画の文雅 ― 魅惑の18世紀」
江戸絵画の文雅
三菱一号館美術館「フィリップス・コレクション展」
フィリップス展
国立科学博物館「明治150年記念 日本を変えた千の技術博」
千の技術博
21_21 DESIGN SIGHT「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」
「民藝」展
前橋文学館「企画展「この二人はあやしい」」
この二人はあやしい
Gallery AaMo「バッドアート美術館展」
バッドアート美術館
森美術館「カタストロフと美術のちから展」
カタストロフと美術
岡田美術館「開館5周年記念展 美のスターたち ―光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい―」
美のスターたち
国立国際美術館「ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代」
ニュー・ウェイブ
国立西洋美術館「ルーベンス展 ― バロックの誕生」
[エリアレポート]
ルーベンス展
上野の森美術館「フェルメール展」
[エリアレポート]
フェルメール展
大阪市立美術館「ルーヴル美術館展 肖像芸術 ――人は人をどう表現してきたか」
[エリアレポート]
ルーヴル美術館展
東京都美術館「ムンク展 ― 共鳴する魂の叫び」
[エリアレポート]
ムンク展
あべのハルカス美術館「生誕120年 イスラエル博物館所蔵 ミラクル エッシャー展」
[エリアレポート]
エッシャー展
東京ステーションギャラリー「吉村芳生 超絶技巧を超えて」
[エリアレポート]
「吉村芳生」展
東京都写真美術館「建築 × 写真 ここのみに在る光」
[エリアレポート]
建築 × 写真
国立科学博物館「明治150年記念 日本を変えた千の技術博」
[エリアレポート]
千の技術博
第3回 インターネットミュージアム検定
ミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2019年の展覧会予定(東京近郊・大阪近郊) 博物館・美術館の情報
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
生誕110年 東山魁夷展 没後50年 藤田嗣治展 ルーベンス展 ー バロックの誕生 国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア
江戸絵画の文雅 ―魅惑の18世紀 クリムト展 ウィーンと日本 1900 フェルメール展 ムンク展―共鳴する魂の叫び
博物館・美術館検索
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「猪」
いよいよスタートです
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2018、グランプリは
「雷切丸くん」 でした
人気の展覧会 ブログパーツ アクセス数が多い展覧会を地域別にご紹介、ご自由にどうぞ。
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2018 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社