日本橋高島屋S.C. 本館 8階ホール「浮世絵最強列伝 ― 江戸の名品勢ぞろい ―」
文 [エリアレポーター]コロコロ / 2019年1月8日

欧米の人を魅了する浮世絵
浮世絵が海外で注目されたきっかけは、江戸時代、日本が欧州に輸出した陶磁器の詰め物として使われていたことに、端を発しています。
時代は下り1960年、空軍士官として日本に駐留した米国のリー・ダークス氏の心も捉えました。
服務後、新聞業界の経営などに携わり、2000年頃から本格的に収集を開始。
現在、日本初公開の展覧会が巡回しています。
展覧会では、浮世絵の初期から幕末までの約200年間の作品を公開。浮世絵の変遷を一望できる大パノラマです。
初心者から上級者まで楽しめ、浮世絵の歴史がわかる

誰もが知っている葛飾北斎や歌川広重など、お馴染みの版画。
浮世絵の祖・菱川師宣、美人画の喜多川歌麿、役者絵の東洲斎写楽。
さらに、浮世絵ファンもうならせる作品など、約160点が並びます。
章を追えば、初心者も上級者も浮世絵の歴史を体系的に学ぶ絶好の機会。
実物の優品を教科書にできるという最高の環境です。

世界でたった3点 北斎の希少作品は必見

葛飾北斎「風流なくてなゝくせ 遠眼鏡」
享年90歳の北斎。画歴は70年を超え、3万点以上の作品を残しました。しかし大判の美人大首絵は「風流なくてなゝくせ」と、もう1点だけです。
世界に3点しかないこの作品は、北斎40代の作。
リー・ダークス氏も一押しで、図録の表紙にもなりました。
今を逃すとこの先、お目にかかるのは難しいかもしれません。
状態のよさもじっくり鑑賞したい一品です。
タイトルの「なくて七癖」は「誰でも癖はあるもの」という諺。
美人の親子が遠眼鏡を覗いています。彼女たちの癖は何でしょう?
物見遊山という癖を表現したそうで、北斎の洒落っ気が感じられます。
超絶技巧に注目

コレクションは優品ばかり。使われている技法は目を見張るものがあります。
しかし、ただ見ているだけでは、なかなか気づくことはできません。
作品の下に解説プレートがあるので、それを頼りにすると、様々な技と出会えます。
最初はすぐに、わからないかもしれませんが、気づくと驚愕です!
細部にまで超絶技巧を施す職人の心意気に圧倒されます。
顎の下の紐飾を見て下さい。凸凹があり、エンボス加工のようです。
これは空摺といって、強くこすって凹凸を出しています。
このような技が、他の作品にも多数あるので探してみて下さい。
見方のポイント
コレクションの精緻な技法は、解説プレートのない部分にも潜んでいます。発見のコツは、まず腰を低くして下から見上げます。
さらに体を左右、上下にずらしながら覗き込むと、ハッと息を飲む瞬間に遭遇します。
この作品の背景は黒雲母摺という技法で、雲母が混ぜてありキラキラ光っています。

他にも仕掛けは一杯。
作品の由来がわからなくても、こうした摺の技法が、欧米の人たちを魅了するようです。
日本の自然や技術のすばらしさを、海外のコレクターの目を通して気づかされます。
今度は、多くの技が詰まった作品から、自分の目で見つけ出す楽しみを味わってみてはいかがでしょうか?
会場 | 日本橋高島屋S.C.本館 8階ホール |
開催期間 | 2019年1月9日(水)~1月21日(月) |
休館日 | 会期中無休 |
開館時間 | 1/9(水)~16(水)は10時30分~19時、1/17(木)~20(日)は10時30分~19時30分、最終日は10時30分~17時30分まで(閉場いずれも30分後) |
所在地 | 東京都中央区日本橋2-4-1 |
03-3211-4111 | |
HP : https://www.takashimaya.co.jp/store/special/event/ukiyoe.html | |
料金 | 一般 1,000円、大学・高校生 800円、中学生以下は無料 |
展覧会詳細へ | 「浮世絵最強列伝 ― 江戸の名品勢ぞろい ―」 詳細情報 |
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