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サントリー美術館「河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」

文 [エリアレポーター]コロコロ / 2019年2月5日


幕末から明治の狭間に埋もれた感がある暁斎。日本よりも先に海外が着目していました。
近年、脚光を浴び、画鬼、奇想のイメージが浸透するようになりました。

狩野派、古画に学ぶ


第1展示室入口 パネル展示
暁斎は、狩野派に学び生涯を狩野派絵師として全うしました。
また古画も学び、多岐にわたる先人たちの作品も研究しています。

既存のイメージの裏にある「狩野派絵師」「古画学習」を軸に、暁斎の根幹に迫ります。
作品の中に風神雷神の姿を見ました。私淑による琳派にも学んだのでしょうか?
風神雷神をどう表現したのか探ってみます。

大津絵を題材にした風神雷神


(左から)弾琴五美女憩いの図 河鍋暁斎【展示期間:2/6~3/4】 / 風神雷神図 河鍋暁斎【展示期間:2/6~3/4】 いずれも河鍋暁斎記念美術館蔵
2幅に描かれた風神雷神。ユーモラスでクスっとしますが、構図による視点の妙に圧倒されます。
暁斎は風刺画の大津絵を収集しており、右は「雷公の太鼓釣り」に由来します。
雷神が大切な太鼓を海に落として、鉤で釣り上げている様子です。

たらし込みで描かれた雲から浮かび上がる雷神の体は、真上から捉えた斬新な構図。
浮遊感があります。荒れる波に向かって糸が一直線に落とされ、鉤がチラ見えするユーモア。
空と海、それをつなぐ糸。縦長画面を生かし暁斎ならではの構図に仕上げています。

波の表現も北斎に負けていません。
左の風神はジェット噴射したような気流に乗り動きを感じます。
風神の姿、実は雷神がよく取るポーズというのも笑いを誘います。
雷神の静と風神の動を対比しているようです。

暁斎が琳派に私淑をすると、こんな風神雷神に昇華されるのだと思ったら・・・
雷神の赤、風神の青は狩野派の伝統表現で、探幽の《風神雷神図屛風》を踏襲しているそう。
基本の軸は、狩野派にあるようです。

ユーモラスな風神


鷹に追われる風神図 河鍋暁斎 一幅 明治19年(1886) イスラエル・ゴールドマン・コレクション(ジョサイア・コンドル旧蔵) Photo:立命館大学アート・リサーチセンター 【全期間展示】
明治19年、56歳の作品。コンドルの旧蔵品。風神が急降下する鷹に追いかけられています。
必死に逃げる風神は、くっきりと描かれた鷹に対し、薄墨の輪郭でぼかされています。
また大きさも小さく、鷹の優勢が強調されているようです。

風神の体の青は、探幽の《風神雷神図屛風》に従っていると考えられます。
これまでは宗達の《風神雷神図屛風》との関連が指摘されていました。
しかし探幽の《戯画図巻》の冒頭に鷹に連れ去られる風神があり、着想元になったと考えられるそうです。


第3章展示風景
狩野探幽周辺の研究により、戯画が発見されると、従来の狩野派のイメージ、アカデミズムや粉本主義とは違う側面が明らかになりました。
鷹に連れ去られる風神は人気だったためいくつかの戯画図巻の中にも見られます。
暁斎の戯画は師の歌川国芳による影響が通説でしたが、狩野探幽の影響も大きかったと考えられます。

展示替えにみる風神雷神

会期後半(3/6~3/31)には、虎屋所蔵の2幅の風神雷神図が展示されます。
墨一色のモノクロで描かれ、大津絵由来の前出の軸とは趣を異にします。
鷹にとらえられる風神も、別の《滑稽図巻》(個人蔵)が登場です。
風神雷神が暁斎の手にかかるといかに表現されるのかを前期・後期で追うのも面白そうです。


会場サントリー美術館
開催期間2019年2月6日(水)~2019年3月31日(日)
休館日火曜日(ただし3月26日は18:00まで開館)
開館時間10:00~18:00、金・土および3月10日は~20:00まで。
所在地東京都港区赤坂9-7-4  東京ミッドタウン ガレリア3F
03-5777-8600
HP : http://suntory.jp/SMA/
料金一般 1,300円、大学・高校生 1,000円
展覧会詳細へ 「河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」 詳細情報
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