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国立西洋美術館「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」

文 [エリアレポーター]コロコロ / 2019年6月10日


松方コレクションについて

松方幸次郎は、神戸の川崎造船所を率い、第一次世界大戦による船舶需要を背景に事業を拡大した実業家です。


(左)フランク・ブラングィン 《松方幸次郎の肖像》 1916年 国立西洋美術館蔵(松方幸次郎氏御遺族より寄贈) (右)フランク・ブラングィン 《共楽美術館構想俯瞰図、東京》 国立西洋美術館蔵
事業をしながら、1916-1927年頃のロンドンやパリで大量の美術品を買い集めました。
それは、日本の油絵描きに本物を集めて日本に送って見せてやりたいという思いがあり、それらを展示する美術館(共楽美術館)の構想も思い描いていました。

コレクションは、多様な時代や地域、ジャンルからなり、その内容は、モネ、ゴーガン、ゴッホ、ロダンの彫刻、近代イギリス絵画、中世の板絵など、実に幅の広い作品を誇っていました。


展示会場プロローグ
ところが、1927年の昭和金融恐慌のあおりで造船所は経営破綻となり、日本に到着していた作品群は売り立てられます。
また、ヨーロッパに残されていた作品の一部はロンドンの倉庫火災で焼失したり、第二次世界大戦末期のパリでフランス政府に接収されたりと、流転の運命をたどります。

戦後になって、フランスから日本へ375点が寄贈返還され、1959年、その保管と展示のため国立西洋美術館が誕生し松方の夢が実現に致りました。

開館60周年を記念し、国内外に散逸した作品を含めた約160点と歴史資料から、100年に及ぶコレクションの形成の足跡を追う展覧会が開催されています。

作品の歴史を感じさせるディスプレー

本展の展示について、国立西洋美術館の陳岡主任研究員は「どのような環境の中で蒐集したか追体験できるよう工夫をしました」と解説されました。
具体的に紹介します。一つは「購入の経緯を示す資料とともに展示したこと」



手前のケースには、松方の作品購入に関わるパリのノードラー画廊の文章が展示されています。
「ディスプレーにもこだわりました。額の裏には、スーツケースのラベルのように絵画の旅が記録されています。本来見ることのできない裏板を見ることができる工夫をしました」



「何も入っていない空額の展示もしています」右は作品のオリジナル額だそうです。


シャルル・エミール=オールギュスト・カロリュス=デュラン 母と子(フェドー夫人と子供たち)1897年 油彩-カンヴァス 国立西洋美術館
「裏板には作品の購入履歴が書かれています。所蔵作品の裏を写真撮影して展示しました」



以上のように、本来は見ることができない部分ににスポットをあて、作品が持つ歴史をより感じとれる展示になっていました。

“幻の睡蓮”の発見と修復


クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》 1916年 油彩、カンヴァス 国立西洋美術館(松方幸次郎氏御遺族より寄贈)
2016年、ルーブル美術館で《睡蓮、柳の反映》が発見されました。
所在不明だった大作は、松方がモネから直接購入した作品と判明し、松方家から国立西洋美術館に寄贈されることになりました。

困難を極めた修復について邊牟研究員が語ります。
「農家に疎開していた絵は、上下逆さで保管され、湿気のために上部が大きく欠損したと思われます。 また木枠もなく布だけで、他の作品も重なっていたと考えられ、触るとハラハラ落ちる劣化状態です。 1年の短期間で修復を成し遂げ初公開となりました」

「現状維持を基本とし、失った部分の補填はしない方針で進め、作品が辿った歴史的資料としての価値を大切にしました」と修復の方針が示されました。

美術作品には、時代背景や作者の生立ちなどの歴史が潜んでいますが、作品そのものも、様々な歴史を背負っていることが見えてきました。

松方が若い油絵描きたちに、本物の油絵を見せてやろうと残してくれた遺産。
さらなる調査で、我々の時代においても、本物の油絵が持つ力を見せてくれそうです。


会場国立西洋美術館
開催期間2019年6月11日(火)~2019年9月23日(月・祝)
休館日月曜日(ただし、7月15日、8月12日、9月16日、23日は開館)、7月16日(火)
開館時間9:30~17:30、金・土曜日は~21時まで(入館は閉館の30分前まで)
所在地東京都台東区上野公園7-7
03-5777-8600(ハローダイヤル)
HP : https://artexhibition.jp/matsukata2019/
料金一般 1,600円、大学 1,200円、高校生 800円、中学生以下は無料
展覧会詳細へ 「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」詳細情報
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