インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  エリアレポート  >  三重県立美術館「中谷ミチコ その小さな宇宙に立つ人」

三重県立美術館「中谷ミチコ その小さな宇宙に立つ人」

文 [エリアレポーター]ひろ.すぎやま / 2019年7月14日
展覧会概要

三重県立美術館で、彫刻家・中谷ミチコの展覧会が開かれています。今展は、彫刻家・柳原義達の遺族の援助による「Y²project」(次代を担う美術家の発信を目的とする展覧会)の第1回目です。

中谷は、国内の美術大学を卒業後、ドイツに留学しました。帰国後は、三重県を拠点に活動しています。今回は、柳原義達記念館の2つの展示室を使い、中谷の新作・近作と柳原の作品を織り交ぜながら両者のまなざしの交差を鑑賞する構成になっています。



2つの展示室にて

北側の展示室の正面奥には、白地に無数のカラスが飛び交う中谷の作品が置かれています。
その手前には柳原による5羽の鴉が、思い思いの方角を向き、翼を休めています。

展示室の様子 奥:中谷ミチコ《あの山にカラスがいる》2016年 手前:柳原義達《道標・鴉》、《風の中の鴉》)

中谷の作品は、一見すると絵画のような平面に見えるかもしれませんが、石膏型の凹みに透明樹脂や、着色した樹脂を流しこみ、表面を平らに仕上げた彫刻(レリーフ)です。
彫像などのように空間に突出する立体感はありませんが、窪んだ底部に隠れるマイナスの立体感に気づくと、思わず作品の周囲をまわりこみ、裏側を確かめてみたくなります。

中谷ミチコ《あの山にカラスがいる》2016年(部分)

一方、南側の展示室の中央には、中谷の白い中型の犬の像と柳原の立ち上がった女性像が置かれています。
そして、壁面に掛けられた小ぶりな少女像や舟を抱えた群衆などの作品が、犬の像と女性像を取り囲んでいます。

展示室の様子 左:中谷ミチコ《犬のお母さん》2019年 右:柳原義達《犬の唄》

中谷によれば、この構成は“その展示室に居る者すべてが等価値に「わたし」と「あなた」を行き来できるように”作られたものだそうです。(展覧会資料から引用)

中谷ミチコ《牛と少女》2019年


中谷ミチコ《牛と少女》2019年 横から

この展示室の奥のスペース(女性像の背中側)で、気になる作品を見つけました。
それは、中谷の白い少女像(レリーフではない)と柳原の小さな山羊(犬と見間違えた)の像です。
中央に置かれた2つの像の制作者とモデルの関係が入れ替わっていて、「わたし」と「あなた」を行き来するためのヒントのように思われました。

全体的に2人の作家の作品が心地良く響きあい、カラスと鴉、少女、犬、女性、鑑賞者のまなざしが行き来し、部屋のあちこちから会話が聞こえてくるようでした。

中谷ミチコ《犬の唄》2019年 photo:koji honda

さて、この展覧会はタイトルにあるように、中谷ミチコの個展なのでしょうか? 誰であれ、この問いに答えるのは容易ではないでしょう。それはさておき、小さな宇宙を確かに感じる展覧会でした。

中谷は、制作にあたり数多くのドローイングを描くそうです。今回は展示されていませんでしたが、機会があれば、ぜひ見てみたいと思いました。

閑話休題

三重県立美術館内にあるレストラン「ミュゼ・ボンヴィヴァン」では、みえジビエの料理を楽しめます。伊勢にある本店の「ボンヴィヴァン」とともにミシュランガイドに掲載される名店です。

この日は午前11時前に美術館に到着しましたが、レストランの入口には、すでに「ただいま満席」の表示が出ていました。
展覧会を見終り、帰り際にもレストランに寄ってみましたが、ロビーでは数組のお客様がメニューを見ながら待っていました。

そういえば、この美術館では、以前にもレストランに入れなくて、駅前でカレー(?)を食べて帰ったことを思い出しました。

以上


会場三重県立美術館
開催期間2019年7月6日(土)~2019年9月29日(日)
休館日月曜日
開館時間9:30~17:00(最終入館は16:30)
所在地 三重県津市大谷町11
0565-34-6610
HP : http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/
料金一般 300円、学生 200円、高校生以下は無料
展覧会詳細へ 「中谷ミチコ その小さな宇宙に立つ人」 詳細情報
エリアレポーターのご紹介
tomokoy ひろ.すぎやま
近現代美術、演劇、映画をよく見ます。
作品を見る時は、先入観を避けるため、解説などは後から読むようにしています。
折々に、東海エリアの展覧会をレポートしますので、出かけていただく契機になれば幸いです。

名古屋市美術館協力会会員、あいちトリエンナーレボランティア。

エリアレポーター募集中!
あなたの目線でミュージアムや展覧会をレポートしてみませんか?

取材レポート
東京富士美術館「フランス絵画の精華」
フランス絵画の精華
寺田倉庫「STAR WARS™ Identities: The Exhibition」
スター・ウォーズ
ハラ ミュージアムアーク「印象派からその先へ ― 世界に誇る吉野石膏コレクション展」
印象派からその先へ
根津美術館「江戸の茶の湯
江戸の茶の湯
東京国立博物館
人、神、自然
出光美術館
やきもの入門
太田記念美術館「ラスト・ウキヨエ 浮世絵を継ぐ者たち ―悳俊彦コレクション」'
ラスト・ウキヨエ
国立科学博物館「特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて」
特別展 ミイラ
明治神宮ミュージアム「天皇陛下御即位奉祝 明治神宮ミュージアム開館記念展」'
明治神宮M. 開館
上野の森美術館「ゴッホ展」'
ゴッホ展
横浜美術館「オランジュリー美術館コレクション
オランジュリー
国立西洋美術館「ハプスブルク展
ハプスブルク展
国立新美術館「カルティエ、時の結晶」
カルティエ
パナソニック汐留美術館「ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン」'
デュフィ
Bunkamura
リヒテンシュタイン
東京都美術館「コートールド美術館展 魅惑の印象派」'
コートールド美術館
神奈川県立近代美術館
ふたたびの「近代」
国立歴史民俗博物館「ハワイ:日本人移民の150年と憧れの島のなりたち」
ハワイ:日本人移民
エリアレポート 国立西洋美術館「ハプスブルク展 ー 600年にわたる帝国コレクションの歴史」
[エリアレポート]
ハプスブルク
エリアレポート 横尾忠則現代美術館「横尾忠則 自我自損展」
[エリアレポート]
横尾忠則 自我自損
エリアレポート 小泉八雲記念館「ハーンを慕った二人のアメリカ人」
[エリアレポート]
小泉八雲
エリアレポート 豊田市美術館「岡﨑乾二郎 ー 視覚のカイソウ」
[エリアレポート]
岡﨑乾二郎
エリアレポート MIHO MUSEUM「The 備前 ―土と炎から生まれる造形美―」
[エリアレポート]
The 備前
エリアレポート 名古屋市美術館「カラヴァッジョ展」
[エリアレポート]
カラヴァッジョ
エリアレポート 岐阜県美術館「リニューアルオープン特別企画」
[エリアレポート]
岐阜美リニューアル
エリアレポート 京都国立近代美術館「円山応挙から近代京都画壇へ」
[エリアレポート]
円山応挙
エリアレポート 東京オペラシティ アートギャラリー「カミーユ・アンロ 蛇を踏む」
[エリアレポート]
カミーユ・アンロ
第3回 インターネットミュージアム検定
B-OWND 工芸のマーケットプレイスミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2020年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
2019年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
ゴッホ展 ハプスブルク展−600年にわたる帝国コレクションの歴史 ゴッホ展 特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて
特別展 「大浮世絵展 ー 歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演 ー」 カラヴァッジョ展 富野由悠季の世界 ラウル・デュフィ展 ― 絵画とテキスタイル・デザイン ―
博物館・美術館検索
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「鼠」
11/29 10時 投票スタート!
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2019、グランプリは「つくぞう&つくみ」でした
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2019 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社