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名古屋市美術館「カラヴァッジョ展」

文 [エリアレポーター]ひろ.すぎやま / 2019年10月25日
展覧会概要

美術館前の大パネル
名古屋市美術館で「カラヴァッジョ展」が始まりました。カラヴァッジョというのは通称で、本名はミケランジェロ・メリージ(1571-1610)といい、イタリアでは誰もが知る国民的画家です。

光と闇を強調した劇的で写実的な表現が特徴で、現存する作品が少ないこと、美術史的な評価が高いことからイタリアの至宝とも言われています。
イタリア国外への貸出が厳しいことも周知のことです。

巨大なフォトスポット
これまでに、日本国内でカラヴァッジョの展覧会が開催されたのは2001-2002年(東京都庭園美術館、岡崎市美術博物館)と、2016年(国立西洋美術館)の2回のみです。
3回目となる今回は、北海道立近代美術館、名古屋市美術館、あべのハルカス美術館を巡回します。

先行した北海道立近代美術館では、予定されていた作品の一部が届かないというショッキングなニュースがありました。
その影響を心配したのですが、名古屋市美術館では《ゴリアテの首を持つダヴィデ》、《洗礼者聖ヨハネ》をはじめ、予定通りの作品が揃ったようで、楽しみに出かけました。

展示室にて

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ 《リュート弾き》 1596-97年頃 個人蔵
リュートを手にした人物が、こちらを見ています。
リュートのヘッドとネックはとても立体的で、まるでこちらに突き出しているかのようです。
テーブル上の楽譜、花瓶など、細かいところまで写実的に描かれています。

本作は、今展カタログの表紙にも使われていて、素直に美しいと思える作品です。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ 《法悦のマグダラのマリア》 1606年 個人蔵
白っぽい衣装の人物が座っています。薄く口を空け、虚ろな表情で、斜め上を見上げています。
半眼になった目元には、涙がにじんでいるようです。
黒い背景と右下のドクロが不気味ですが、左上のあたりが少し明るくなっていて、その下にうっすらと十字架が見えることから、約束された救済も示されているようです。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ 《洗礼者聖ヨハネ》 1609-10年 ローマ、ボルゲーゼ美術館蔵 © Ministero per i beni e le attività culturali – Galleria Borghese
ヨハネといえば、伝統的に十字架状の葦の杖を持ち、角のない子羊と一緒に描かれるそうですが、本作では、ただの棒と角のある雄羊と一緒に描かれています。

これらの意匠の変更にどのような意味が込められているのか、研究者により多くの解釈が出され、いまだに定説はないようです。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ 《ゴリアテの首を持つダヴィデ》 1609-10年頃 ローマ、ボルゲーゼ美術館蔵 © Ministero per i beni e le attività culturali – Galleria Borghese
作品の前に立つと、中央のダヴィデよりも右下のゴリアテに目が吸い寄せられます。
鈍く光る眼、唾液が垂れそうな口、血の滴る首など、上気したダヴィデの上半身とあいまって戦いが終わって間もない臨場感があります。
左上に幕のようなものが見えるので、野営テントに戻ったダヴィデが王様に戦いの報告をしている様子かもしれません。

《洗礼者聖ヨハネ》と《ゴリアテの首を持つダヴィデ》は、名古屋市美術館での展示の目玉となるツートップで、特に《ゴリアテの首を持つダヴィデ》は日本初公開という特別な作品です。

展示室風景
今展では、カラヴァッジョ以外の作品にも注目して欲しいと思います。
例えば、アルテミジア・ジェンティレスキの《スザンナと長老たち》です。
他の作品との違いは、なんだと思いますか?(ヒントは、キャプションにあります)

今展のキャッチコピーは「才能か。罪か。天才画家の光と闇。」です。
歴史上、天才と呼ばれる人物は数多くいますが、カラヴァッジョを超える天才となると、すぐには思いつきません。
ちなみに、2016年の展覧会のキャッチコピーは「ルネサンスを超えた男。」でした。

以前の展覧会にもまして、見れば見るほど発見のある展覧会です。会期中に作品入替はありませんが、ぜひもう一度見に行きたいと思います。

閑話休題

今回も、ミュージアムショップが充実しています。

グッズであふれるミュージアムショップ
ところで、北海道立近代美術館のカラヴァッジョ展のフォトスポットは《メドゥーサの盾(第一ヴァージョン)》でした。
あべのハルカス美術館では、どのようなフォトスポットが出迎えてくれるでしょうか。こちらも楽しみです。

フォトスポット 北海道立近代美術館ロビー
※ 館内の写真はプレス向け内覧会で特別に許可を得て撮影したものです。

会場名古屋市美術館
開催期間2019年10月26日(土)~2019年12月15日(日)
休館日月曜日(11月4日は開館)、11月5日
開館時間9:30~17:00(毎週金曜日は20:00まで、入場は閉館30分前まで)
所在地愛知県名古屋市中区栄2-17-25 (芸術と科学の杜・白川公園内)
052-212-0001
HP : http://m-caravaggio.jp/
料金一般 1,600円、高校・大学生 1,000円、中学生以下無料
展覧会詳細へ 「カラヴァッジョ展」 詳細情報
エリアレポーターのご紹介
tomokoy ひろ.すぎやま
近現代美術、演劇、映画をよく見ます。
作品を見る時は、先入観を避けるため、解説などは後から読むようにしています。
折々に、東海エリアの展覧会をレポートしますので、出かけていただく契機になれば幸いです。

名古屋市美術館協力会会員、あいちトリエンナーレボランティア。

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