インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  エリアレポート  >  国立国際美術館「クラーナハ展 ― 500年後の誘惑」

国立国際美術館「クラーナハ展 ― 500年後の誘惑」

撮影・文 [エリアレポーター]白川瑞穂 / 2017年1月27日
ドライで冷たい誘惑の眼差し

ドイツ・ルネサンスを代表する画家であり、教科書に載っている宗教改革のマルティン・ルターの肖像画で知られるルカス・クラーナハ。

宗教改革からちょうど500年の今年、彼の芸術の全貌を紹介する日本初の大回顧展が大阪・中之島の国立国際美術館で開催されています。


ウィーン美術史美術館、昨年同展覧会が開催された国立西洋美術館、そして国立国際美術館の強力タッグにより、世界13カ国から集まった約100点で展観する史上最大級のクラーナハ展です。

ウィーン美術史美術館所蔵、メインビジュアルの《ホロフェルネスの首を持つユディト》は、3年に及ぶ修復を経ての公開。

ルカス・クラーナハ(父)《ホロフェルネスの首を持つユディト》 1525/30年頃 ウィーン美術史美術館 © KHM-Museumsverband

16世紀、神聖ローマ帝国で宮廷画家として頭角を現したクラーナハは、著名人や政治家、権力者とも知己を得て、当時の記録用「メディア」として彼らの肖像画を大量生産します。

ルカス・クラーナハ(父)《ザクセン公女マリア》 1534年 リヨン美術館 © Photo Josse / Scala, Florence

親友であったルターもその例外ではなく、多数の肖像画を描き、彼の思想を視覚化して伝え、宗教改革の後押しをする役割も担っていました。

ルカス・クラーナハ(父)《マルティン・ルター》 1525年 ブリストル市立美術館 © Bristol Museums, Galleries and Archives

クラーナハは経営者としても非常に長けた人物で、効率化のために大きな工房を作り、弟子や息子とともに作品を分業で制作。仕事の速さから「最も素早い画家」と呼ばれました。
さらにより効率を上げるために、書店や薬局、印刷所なども多角的に経営。
宮廷画家になってわずか数年後の1508年にザクセン選帝王フリードリヒ賢明公から授かった、翼を持つヘビの紋章は、自らの工房のトレードマークとし、ブランド化に活用しました。

クラーナハの代表的な作品といえば、独特の雰囲気を持つ裸婦像。
神話や聖書などを題材に、ある意味隠れ蓑にしながら官能的な女性を描き、貴族の男性たちへの貢物にもしていたとか。

ルカス・クラーナハ(父)《泉のニンフ》 1537年以降 ワシントン・ナショナル・ギャラリー © Courtesy National Gallery of Art,Washington

こちらはイタリア・ルネサンスの一般的な美の女神ヴィーナスのイメージとは異なる、クラーナハのヴィーナス像。

ルカス・クラーナハ(父)《ヴィーナス》 1532年 シュテーデル美術館、フランクフルト © 2016 DeAgostino Picture Libars / Scala, Florence

体の角度、体型、顔と身体のバランス、見れば見るほど違和感が増します。

着衣の女性さえ、不思議なくらい裸婦より官能的で挑発的です。
英雄ヘラクレスでさえ、こんな風にメロメロに。

ルカス・クラーナハ(父)《ヘラクレスとオンファレ》 1537年 バンベルク財団、トゥールーズ © bpk / PMN - Grand Palais / Mathieu Rabeau

女性の冷めた眼差しや表情によって、女性の力やたくらみである「誘惑」を表現することで、クラーナハは男性たちへのいましめ、警告を行い、性差を超えたイメージの力を表現しました。

ルカス・クラーナハ(父)《不釣り合いなカップル》 1530/40年頃 ウィーン美術史美術館 © KHM-Museumsverband

彼に影響された20世紀の画家も多く、ピカソや、セルフポートレートで知られる森村泰昌氏の作品も関連作品として展示されています。ぜひ見比べて見てください。

ルカス・クラーナハ(父)《正義の寓意(ユスティティア)》 1537年 個人蔵

ちょっぴり不気味、なんだかよくわからない。
妖艶だけど、濃厚というよりはドライで冷たい誘惑の眼差しに捉えられ、あっという間に独特の世界に引き込まれてしまう展覧会です。

展示会場の最後にあるミュージアムグッズコーナーには、ユディトの帽子を被ったシュタイフのテディベアが。


ユスティティアの首飾りをモティーフにしたバックやTシャツも素敵だなと思いました。


日本ではあまり知られていないクラーナハ、もっと深く知りたい!と思うこと必至で、そのための関連イベントも多数予定されています。ぜひ足を運んでみてください。

担当学芸員によるギャラリートーク
2月25日(土)、4月8日(土)14時から
先着90名(要観覧券)
当日13時半から聴講用ワイヤレス受信機貸し出し

アーティストトーク
3月25日(土)14時〜15時30分
坂本夏子(画家)
先着130名(要観覧券)
当日10時から整理券配布

会場国立国際美術館
開催期間2017年1月28日(土)~4月16日(日)
開館時間10:00~17:00、金曜日は~19:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日月曜日、3月20日(月・祝)は開館、翌日(3月21日)は休館
所在地 大阪府大阪市北区中之島4-2-55
06-4862-5777(事務局)
HP : http://www.tbs.co.jp/vienna2016/
展覧会詳細へ 「クラーナハ展 ― 500年後の誘惑」詳細情報
エリアレポーターのご紹介
白川瑞穂 白川瑞穂
関西在住の会社員です。学生の頃から美術鑑賞が趣味で、関西を中心に、色々なジャンルのミュージアムに出かけています。観た展示を一般人目線でお伝えしていきます。

エリアレポーター募集中!
あなたの目線でミュージアムや展覧会をレポートしてみませんか?

取材レポート
町田市立国際版画美術館「美人画の時代―春信から歌麿、そして清方へ―」
美人画の時代
国立科学博物館「特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて」
特別展 ミイラ
明治神宮ミュージアム「天皇陛下御即位奉祝 明治神宮ミュージアム開館記念展」'
明治神宮M. 開館
渋谷区立松濤美術館「日本・東洋 美のたからばこ」
美のたからばこ
横浜美術館「オランジュリー美術館コレクション
オランジュリー
国立西洋美術館「ハプスブルク展
ハプスブルク展
太田記念美術館「ラスト・ウキヨエ 浮世絵を継ぐ者たち ―悳俊彦コレクション」'
ラスト・ウキヨエ
東京国立近代美術館工芸館「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション
竹工芸名品
東京国立博物館「正倉院の世界
正倉院の世界
五島美術館「特別展 美意識のトランジション ─ 十六から十七世紀にかけての東アジアの書画工芸 ─」
美のトランジション
東京都美術館「コートールド美術館展 魅惑の印象派」'
コートールド美術館
国立歴史民俗博物館「ハワイ:日本人移民の150年と憧れの島のなりたち」
ハワイ:日本人移民
上野の森美術館「ゴッホ展」'
ゴッホ展
神奈川県立近代美術館
ふたたびの「近代」
Bunkamura
リヒテンシュタイン
国立新美術館「カルティエ、時の結晶」
カルティエ
福田美術館「開館記念 福美コレクション展」
福田美術館 開館
パナソニック汐留美術館「ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン」'
デュフィ
三井記念美術館「茶の湯名椀『高麗茶碗』」'
高麗茶碗
寺田倉庫「STAR WARS™ Identities: The Exhibition」
スター・ウォーズ
ハラ ミュージアムアーク「加藤泉 ― LIKE A ROLLING SNOWBALL」
加藤泉
東京富士美術館「フランス絵画の精華」
フランス絵画の精華
エリアレポート MIHO MUSEUM「The 備前 ―土と炎から生まれる造形美―」
[エリアレポート]
The 備前
エリアレポート 名古屋市美術館「カラヴァッジョ展」
[エリアレポート]
カラヴァッジョ
エリアレポート 岐阜県美術館「リニューアルオープン特別企画」
[エリアレポート]
岐阜美リニューアル
エリアレポート 京都国立近代美術館「円山応挙から近代京都画壇へ」
[エリアレポート]
円山応挙
エリアレポート 秋田県立美術館 「特別展 キスリング展 エコール・ド・パリの巨匠」
[エリアレポート]
キスリング
エリアレポート 岡山芸術交流2019 「IF THE SNAKEもし蛇が」
[エリアレポート]
岡山芸術交流
エリアレポート 国立科学博物館「風景の科学展 芸術と科学の融合」
[エリアレポート]
風景の科学展
エリアレポート 横尾忠則現代美術館「横尾忠則 自我自損展」
[エリアレポート]
横尾忠則 自我自損
エリアレポート 中之島香雪美術館 「交流の軌跡―初期洋風画から輸出漆器まで」
[エリアレポート]
交流の軌跡
エリアレポート 県立神奈川近代文学館 特別展「中島敦展 ― 魅せられた旅人の短い生涯」
[エリアレポート]
中島敦
エリアレポート 東京オペラシティ アートギャラリー「カミーユ・アンロ 蛇を踏む」
[エリアレポート]
カミーユ・アンロ
第3回 インターネットミュージアム検定
B-OWND 工芸のマーケットプレイスミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2020年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
2019年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
ゴッホ展 ハプスブルク展−600年にわたる帝国コレクションの歴史 特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて 御即位記念特別展「正倉院の世界 ― 皇室がまもり伝えた美 ―」
ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道 カラヴァッジョ展 ラウル・デュフィ展 ― 絵画とテキスタイル・デザイン ― 特別展 「大浮世絵展 ー 歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演 ー」
博物館・美術館検索
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「鼠」
エントリー受付中です
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2019、グランプリは「つくぞう&つくみ」でした
人気の展覧会 ブログパーツ アクセス数が多い展覧会を地域別にご紹介、ご自由にどうぞ。
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2019 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社