インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  エリアレポート  >  大阪市立美術館「木×仏像 - 飛鳥仏から円空へ 日本の木彫仏 1000 年」

大阪市立美術館「木×仏像 - 飛鳥仏から円空へ 日本の木彫仏 1000 年」

撮影・文 [エリアレポーター]白川瑞穂 / 2017年4月7日


私たち日本人とかかわりの深い「木」。
公園や街角の木、木造の住宅など、私たちは木と親しみながら生活していると同時に、「ご神木」など、木を尊重する文化を持っています。
その「木」で作られた仏像に注目した展覧会をご紹介いたします。

日本最初の仏像は、6世紀に大阪湾に漂着したクスノキで彫られたものと言われています。
仏教が伝来した飛鳥時代には、仏像はすべてクスノキで彫られていたそうです。当時の仏像は純粋な信仰の対象であり、側面や背面を見ることを想定していないため、人体の形とは異なる、こんな薄っぺらいものも。
頭と体のバランス、表情がなんだかユーモラスで楽しいです。


木造 菩薩立像 飛鳥時代 東京国立博物館

時代とともに、技術の発展やデザインの流行による変化があるのも面白いところで、平安時代中期には、表面に鑿跡(のみあと)を残す「鉈彫」(なたぼり)像が登場。

こちらの仏像は、宝誌和尚という、分身の術を使ったり、予言を行ったりしたといわれるマジカルな伝説の人物の仏像です。
画家が彼の姿を描こうとした時に、自ら顔を裂くと、中から十二面(十一面)の観音菩薩が表れ、彼の姿は描かれなかったという奇譚があります。


重要文化財 木造 宝誌和尚立像 平安時代 京都・西往寺

こちらの、一見、似たような三体の仏像の真ん中は平安時代、左右の二体は鎌倉時代に造られたもの。
微妙な違いを、ぜひ実物をじっくりご覧になって見つけてみてください。
例えば胸部の張り、顔などが違うそうですよ。


木造 阿弥陀如来坐像 平安時代 大阪・大門寺(中央)

一本の木を彫って仏像の全身から台座までを造る一木造(いちぼくづくり)では、木の部分によって乾燥による損傷(「干割れ(ひわれ)」)が起きるので、内刳(うちぐり)といって蔵の内部を彫り出して造られるものが現れてきます。

今回の展覧会では、すべての仏像が360度の角度から見られるように展示されているため、このように背面まで見ることができます。


重要文化財 木造 観音菩薩立像 平安時代 滋賀・櫟野寺

ちなみに照明も、仏像の立体感が感じられるように工夫されているそうです。
暗すぎず明るすぎない、絶妙な雰囲気も醸し出しています。
こちらの画像のコーナーは、壁面に映った陰影まで美しいと思いました。


木造 十一面観音菩薩立像 鎌倉時代 大阪・四天王寺

ケースに入っていない仏像は、間近で、形や「彫り」をじっくりと見ることができるのも嬉しいですね。

さらに時代が進むと、片足だけで立つ難しいポーズを高い技術でバランスよく保つ像が造られたり。


木造 蔵王権現立像 南北朝時代 大阪・大門寺

今にも動き出しそうな躍動感がすごいです。

大きな仏像だけでなく、小さなものもあります。
こちらは白檀で彫られた鎌倉時代の閻魔像。
精巧で細密な表現が、たった4cmほどの像に施されています。


木造 閻魔王坐像 鎌倉時代 大阪・正明寺

江戸時代には、独特かつ斬新な仏像を数多く造った円空の出現も。


円空作 木造 秋葉権現三尊像 江戸時代

後ろから見ると、こんな感じです。


円空作 木造 秋葉権現三尊像 江戸時代

また、会場内には、種類によって手触りや重さの違う「木」を体感できるコーナーもありますので、ぜひ触れてみてください。


体験コーナー

今回のように、宗派を超えての木造の仏像の展示は大変珍しいものだそうです。
金属や石で造られた仏像には静謐でひんやりとしたオーラが漂いますが、木の仏像にはどれも温かみがあって、表情も柔らかく、とても穏やかな気持ちにしてくれます。

木造の仏像の歴史や変遷とともに、木を大切にして、木とともに歩んできた日本の文化も感じられる展覧会。

今は桜が満開ですが、これから緑と色とりどりの花で彩られる天王寺公園の風景も楽しみつつ、足を運ばれてはいかがでしょうか。


大阪市美術館

会場大阪市立美術館
開催期間2017年4月8日(土)~6月4日(日)
開館時間9:30~17:00
所在地大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82
06-4301-7285
HP : http://www.osaka-art-museum.jp/
料金一般 1,300円、高大生 1,100円
展覧会詳細へ 「木×仏像 - 飛鳥仏から円空へ 日本の木彫仏 1000 年」詳細情報
エリアレポーターのご紹介
白川瑞穂 白川瑞穂
関西在住の会社員です。学生の頃から美術鑑賞が趣味で、関西を中心に、色々なジャンルのミュージアムに出かけています。観た展示を一般人目線でお伝えしていきます。

エリアレポーター募集中!
あなたの目線でミュージアムや展覧会をレポートしてみませんか?

取材レポート
町田市立国際版画美術館「美人画の時代―春信から歌麿、そして清方へ―」
美人画の時代
国立科学博物館「特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて」
特別展 ミイラ
明治神宮ミュージアム「天皇陛下御即位奉祝 明治神宮ミュージアム開館記念展」'
明治神宮M. 開館
渋谷区立松濤美術館「日本・東洋 美のたからばこ」
美のたからばこ
横浜美術館「オランジュリー美術館コレクション
オランジュリー
国立西洋美術館「ハプスブルク展
ハプスブルク展
太田記念美術館「ラスト・ウキヨエ 浮世絵を継ぐ者たち ―悳俊彦コレクション」'
ラスト・ウキヨエ
東京国立近代美術館工芸館「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション
竹工芸名品
東京国立博物館「正倉院の世界
正倉院の世界
五島美術館「特別展 美意識のトランジション ─ 十六から十七世紀にかけての東アジアの書画工芸 ─」
美のトランジション
東京都美術館「コートールド美術館展 魅惑の印象派」'
コートールド美術館
国立歴史民俗博物館「ハワイ:日本人移民の150年と憧れの島のなりたち」
ハワイ:日本人移民
上野の森美術館「ゴッホ展」'
ゴッホ展
神奈川県立近代美術館
ふたたびの「近代」
Bunkamura
リヒテンシュタイン
国立新美術館「カルティエ、時の結晶」
カルティエ
福田美術館「開館記念 福美コレクション展」
福田美術館 開館
パナソニック汐留美術館「ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン」'
デュフィ
三井記念美術館「茶の湯名椀『高麗茶碗』」'
高麗茶碗
寺田倉庫「STAR WARS™ Identities: The Exhibition」
スター・ウォーズ
ハラ ミュージアムアーク「加藤泉 ― LIKE A ROLLING SNOWBALL」
加藤泉
東京富士美術館「フランス絵画の精華」
フランス絵画の精華
エリアレポート MIHO MUSEUM「The 備前 ―土と炎から生まれる造形美―」
[エリアレポート]
The 備前
エリアレポート 名古屋市美術館「カラヴァッジョ展」
[エリアレポート]
カラヴァッジョ
エリアレポート 岐阜県美術館「リニューアルオープン特別企画」
[エリアレポート]
岐阜美リニューアル
エリアレポート 京都国立近代美術館「円山応挙から近代京都画壇へ」
[エリアレポート]
円山応挙
エリアレポート 秋田県立美術館 「特別展 キスリング展 エコール・ド・パリの巨匠」
[エリアレポート]
キスリング
エリアレポート 岡山芸術交流2019 「IF THE SNAKEもし蛇が」
[エリアレポート]
岡山芸術交流
エリアレポート 国立科学博物館「風景の科学展 芸術と科学の融合」
[エリアレポート]
風景の科学展
エリアレポート 横尾忠則現代美術館「横尾忠則 自我自損展」
[エリアレポート]
横尾忠則 自我自損
エリアレポート 中之島香雪美術館 「交流の軌跡―初期洋風画から輸出漆器まで」
[エリアレポート]
交流の軌跡
エリアレポート 県立神奈川近代文学館 特別展「中島敦展 ― 魅せられた旅人の短い生涯」
[エリアレポート]
中島敦
エリアレポート 東京オペラシティ アートギャラリー「カミーユ・アンロ 蛇を踏む」
[エリアレポート]
カミーユ・アンロ
第3回 インターネットミュージアム検定
B-OWND 工芸のマーケットプレイスミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2020年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
2019年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
ゴッホ展 ハプスブルク展−600年にわたる帝国コレクションの歴史 特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて 御即位記念特別展「正倉院の世界 ― 皇室がまもり伝えた美 ―」
ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道 カラヴァッジョ展 ラウル・デュフィ展 ― 絵画とテキスタイル・デザイン ― 特別展 「大浮世絵展 ー 歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演 ー」
博物館・美術館検索
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2019、グランプリは「つくぞう&つくみ」でした
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「猪」
グランプリは「ペッカリー(ヘソイノシシ)象形土偶」でした
人気の展覧会 ブログパーツ アクセス数が多い展覧会を地域別にご紹介、ご自由にどうぞ。
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2019 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社