インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
【注意】新型コロナウィルス感染防止にともない、展覧会・イベントは中止になる場合があります。必ず公式サイトでご確認ください。[休館情報はこちら]
  インターネットミュージアム  >  エリアレポート  >  あべのハルカス美術館「没後70年 北野恒富展 なにわの美人図鑑」

あべのハルカス美術館「没後70年 北野恒富展 なにわの美人図鑑」

撮影・文 [エリアレポーター]胤森由梨 / 2017年6月5日
妖艶な指先にご注目

明治後期、東京や京都では、鏑木清方と上村松園を筆頭とする二つの画壇が主流で、大阪はその東西二大都市と比べるとややマイナーな地域でした。
そんな大阪で、「画壇の悪魔派」と揶揄されながらも、画壇の改革を起こそうと奮闘したのが、今回の主人公、北野恒富。

作品を見てみると、どれも現代性を感じるものばかり。

では早速ご紹介しましょう。


こちらは、北野恒富《道行》(1913年頃)。

この作品は文展に出品したものの、道徳的に良くないという理由で落選した作品です。

描かれているのは、近松門左衛門の「心中天の網島」に登場する遊女小春と紙屋治兵衛が死出の旅(心中へと向かう旅)へと向かう場面です。
威嚇し合うカラスが描かれ、道ならぬ恋に走る二人を責め立てているかのようです。
小春の顔は空一点を見つめ、生気が感じられないほど憔悴した様子です。

二人がつなぐ手の指先にご注目ください。
指先はほんのり赤く、それが妙な生々しさを感じさせます。まるで彼女らの心情を象徴するかのようです。


左から、北野恒富《宝恵籠》(1931年)、北野恒富《涼み》(昭和初期)。

北野恒富の《宝恵籠》は私のお気に入りの作品の一つで、鮮やかな赤色と芸妓さんの黒い結い髪の対比がとても美しいです。
近くで見てみると、結い髪はただ黒で塗られているのではなく、繊細にニュアンスを感じさせるように描かれているのがわかります。

着物にもご注目ください。
帯の絞りの粒は一粒一粒丁寧に色が塗り重ねられていて、少し厚塗りになっています。
恒富の作品は、塗り重ねるところと、薄く色付けしてニュアンスを出しているところが混在しているのが面白いです。


左から、北野恒富《ポスター原画:高島屋》(1929年)、森村泰昌《北野恒富・考/壱(恒富風桃山調アールデコ柄)/森村泰昌》(2011年)。

森村泰昌といえば、古今東西の名画に入り込んだり、著名なアーティストに扮したセルフポートレート作品で有名ですが、こちらでは、北野恒富の《ポスター:高島屋》に描かれる女性に扮しています。

この作品で是非注目いただきたいのが、森村の指先です。
実際の女性像とは異なりますが、彼は恒富の指先へのこだわりを見抜き、あえて手入れの行き届いた長い爪をあらわにしています。


こちらは下段右から北野恒富《ポスター:貿易製産品共進会》(1911年)、北野恒富《ポスター:朝のクラブ歯磨》(1913年)、北野恒富《ポスター:サクラビール》(1913年)。

右の作品を見て、ミュシャを連想された方も多いのではないでしょうか。
恒富はミュシャから影響を受けた画家の一人で、この作品は恒富制作のポスターの中で最も古い作品です。
それから2年後には、中央の作品のように、恒富好みのやや憂いを帯びた女性のポスターが制作されるようになりますが、ポスター制作のスタート地点に、こうした西洋舶来品の影響が見られる、というのは興味深いですね。

最後に展覧会風景をご紹介します。


こちらは北野恒富といえばコレ!という作品が一堂に並ぶコーナーです。
いろんな風景の中に、はんなりとした女性が描かれています。


こちらは恒富が設立した、画塾「白耀社」の門下生たちの作品コーナーです。
祭りをテーマにした作品や、夕涼みが描かれた作品など、どれも夏らしい作品です。彼の作品からいつも感じられる憂いがそこにはあります。

ただ綺麗なだけじゃない、恒富の美人画を是非会場でお楽しみください。

会場あべのハルカス美術館
開催期間2017年6月6日(火)~7月17日(月)
休館日6月26日(月)
開館時間火~金 / 10:00~20:00、月土日祝 / 10:00~18:00(いずれも入場は30分前まで)
所在地大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階
06-4399-9050
HP : https://www.aham.jp/exhibition/future/kitanotsunetomi/
料金一般 1,300円、大学・高校生 900円、中学・小学生 500円
展覧会詳細へ 「没後70年 北野恒富展 なにわの美人図鑑」詳細情報
エリアレポーターのご紹介
胤森由梨 胤森由梨
美術が大好きなアートライターです。美術鑑賞に関わる仕事を広げていきたいと思っています。現在、instagram「tanemo0417」「artgram1001」でもアート情報を発信中です!

エリアレポーター募集中!
あなたの目線でミュージアムや展覧会をレポートしてみませんか?

新型コロナウイルス特集 with corona after corona
新型コロナウイルス特集 美術館・博物館・ミュージアムの休館・再開情報(毎日更新)
新型コロナウイルス特集 開幕延期・中止になった展覧会 会場レポート
新型コロナウイルス特集 会期が変更された2020年注目の展覧会
新型コロナウイルス特集 再開したミュージアムで始まった展覧会
取材レポート
泰巖歴史美術館がオープン'
泰巖歴史美術館
エリアレポート 豊田市美術館「久門 剛史 - らせんの練習」
[エリアレポート]
久門剛史展
東京ステーションギャラリー「神田日勝
神田日勝
東京国立近代美術館「ピーター・ドイグ」'
ピーター・ドイグ
国立西洋美術館「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」'
ロンドンナショナル
エリアレポート 大阪市立美術館「フランス絵画の精華」
[エリアレポート]
フランス絵画の精華
エリアレポート 茨城県陶芸美術館「幻の横浜焼・東京焼」
[エリアレポート]
幻の横浜焼・東京焼
エリアレポート 京都市京セラ美術館がオープン
[エリアレポート]
京セラ美術館
エリアレポート 渋谷区立松濤美術館「真珠 ― 海からの贈りもの」
[エリアレポート]
真珠
足立美術館に「魯山人館」がオープン'
魯山人館オープン
クラシックホテル展
クラシックホテル
アソビル「バンクシー展
バンクシー
岡田美術館「生誕260年記念 北斎の肉筆画
北斎の肉筆画
三菱一号館美術館「画家が見たこども」'
画家が見たこども
エリアレポート 市原湖畔美術館「雲巻雲舒 ― 現代中国美術展・紙」
[エリアレポート]
雲巻雲舒
エリアレポート 東京国立近代美術館「ピーター・ドイグ展」
[エリアレポート]
ピーター・ドイグ
エリアレポート 細見美術館「飄々表具 ー 杉本博司の表具表現世界 ー」
[エリアレポート]
飄々表具 杉本博司
エリアレポート ふじのくに地球環境史ミュージアム「消えゆく隣人」
[エリアレポート]
消えゆく隣人
国立新美術館「古典×現代2020」'
古典×現代2020
21_21
デザイナー達の原画
エリアレポート 愛知県陶磁美術館「異才 辻晉堂の陶彫」
[エリアレポート]
辻晉堂の陶彫
第3回 インターネットミュージアム検定
B-OWND 工芸のマーケットプレイスミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2020年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 ハマスホイとデンマーク絵画 特別展「奇才―江戸絵画の冒険者たち―」 フランス絵画の精華
写真展「138億光年 宇宙の旅」 【特別展】竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス 真珠 ― 海からの贈りもの 特集展示 大津絵と江戸の出版
博物館・美術館検索
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「鼠」
グランプリは《大根喰う(大黒)》でした
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2019、グランプリは「つくぞう&つくみ」でした
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2020 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青社グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社