中村弘峰個展　ＭＶＰ（MOST VALUABLE PRAYERS）

中村弘峰氏は1986年、博多人形師の4代目として福岡に生まれ、2011年に東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了いたしました。以降、家業を引き継ぐと同時に、従来の概念に留まらない斬新な創作人形を発表し、第3回金沢・世界工芸トリエンナーレで優秀賞を受賞するなど伝統の世界に風穴をあける活躍を見せております。 古来より、ヒトという生物は、不老・息災といった願いや想い、祈りの気持ちを込める対象として、土偶やギリシャ彫刻、神や仏の御姿に至るまで、ヒトガタを創造してまいりました。しかし情報過多の現代においては、そのような想いはヒトガタ以外の多種多様なものに分散、転化され、一層複雑化しているように感じられます。中村氏は人形師として、現代における人形の在り方を読み解き、再構築しながら、人の持つ普遍的な想いを回収するかのように、新たな創作領域を開拓し続けております。 今展では多くの人々が英雄視し、羨望する象徴的な存在であるアスリートに着目し、形象化した作品群による空間構成に挑みます。 昨日の伝統を更新し、今日の感覚にアップデートしながら進化する中村弘峰氏の世界を、ぜひご堪能ください。 【会場】 6階美術画廊Ｘ