映画ポスターは本来、映画作品の宣伝材料として印刷され、映画館や街角に貼られ、上映終了とともに役割を終えます。
また、そうした実用性を持つ一方、それ自体の高い芸術性やユニークなデザインが人々に強い印象を与えることもあります。
とりわけ1910年代から1930年代には、映画はモダニズム文化の象徴となり、そのポスターも、東京をはじめとする近代の都市風景の大きな要素となりました。
この2018年4月に設立された国立映画アーカイブ(旧・東京国立近代美術館フィルムセンター)は、映画のフィルムを文化財として収集・保存し、積極的な上映活動を続けてきた日本で唯一の国立映画機関です。
そして当館のもう一つのコレクションの柱が、ポスター・スチル写真・シナリオ・プレス資料・機材・書籍といった映画資料です。
当館ではこうした資料についても、アクセシビリティを高めるためのデジタル化を進めています。ポスターに関しては現在約59,000点という所蔵数を誇りますが、デジタル化を通じて高度な複製品を作れるようになったことで、展示室を飛び出し、ポスターを再び街中に連れ戻すことができるようになりました。
展示されるポスター24点のほとんどは、稀代の映画資料収集家・御園京平氏(1919-2000)が旧蔵し、当館の映画資料の礎をなす「みそのコレクション」から選ばれたものです。
また、往年の東京の映画館の記録写真についても、デジタル技術を用いた新機軸の展示を行います。
小さな展覧会ですが、映画ポスターの魅力や写真資料の歴史的な価値を感じていただくとともに、近代都市の発展とともに人々を魅了してきた映画文化の豊かさを再発見していただければ幸いです。
お問い合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)