安田先生は1949年大阪府に生まれました。中学時代、菱田春草の「落葉」を観て日本画家を志すと心に誓う先生は、のちにイタリアで中世の聖母子像に出合い魅了される一方、観音菩薩像にも惹かれ、普遍的な慈愛の世界を見出されました。
京都市立芸術大学在学中から一貫して女性美をテーマに、‘94年に菅楯彦大賞展市民賞を受賞されるなど、卓抜した人物表現で高い評価を得た先生は、30歳の出産を機に自らの母子像に着手。爾来繊細優美な線と煌く色彩で母子の親密な絆を描き続けます。
慈愛に満ちた母のまなざしと無垢な赤子の姿は、匂うような凛とした空気感と画品を漂わせながら、私たちに優しさと温もりを与え、命の尊さを問いかけてくれます。
古希を迎えられる今展、「Cantare la vita(いのちの合唱)」という壮大なテーマのもと、人生の光と陰、幾多の出会いに思いを馳せ、ますます深まる“命を守りたい”という願いを制作に込めて、さらなる高みを目指しておられます。
去りゆく命と芽生える命、そして、命は引き継がれてゆく・・・。
すべてが一つとなっての大合唱です。どうか耳を澄ましていただき魂の静けさを、そして、新たなる安田芸術から放たれる光彩を感じ取っていただければ幸甚です。
【巡回先】
[京都展] 2019年2月27日(水)~3月 5日(火) 京都高島屋6階美術画廊