所蔵茶道具展　茶の湯にみる伝統工芸ー桃山・江戸から昭和へ―

茶の湯では、従来の唐物中心の道具による「書院の茶」から、簡素の中に美を見出した「侘び茶」が大成されると、楽茶碗や瀬戸焼以外の信楽や備前などが茶道具に加わりました。さらに茶道具としての漆器や金工品、木竹工芸品も日本各地で生産され、その技術や製法は現代も受け継がれます。 今季の茶道具展では、江戸時代以前に用いられた茶道具とともに、桃山陶の再現を試み、独自の芸術に昇華させた荒川豊蔵や加藤唐九郎、備前焼の金重陶陽、萩焼の三輪休和、唐津焼の中里無庵といった主に昭和に活躍した陶芸家のほか、漆器や金工などの現代工芸家の茶道具も含まれます。 桃山時代の志野茶碗や鼠志野茶碗と共に、荒川豊蔵を筆頭に鈴木蔵、加藤孝造など現代の美濃焼を代表する陶芸家との競演や、江戸時代の楽家4代一入、5代宗入に対し15代吉左衛門による黒茶碗など、伝統を継承しながらも現代工芸家の個性が発揮された茶道具をご覧ください。