ポーラ美術館(神奈川県・箱根町)は、 現代美術を展示するスペース「アトリウム ギャラリー」にて、 佐藤翠「Diaphanous petals(ダイアファナス・ペタルス)」展を、 2019年12月15日(日)から2020年4月5日(日)まで開催します。 本展は、 佐藤にとって美術館での初個展となります。
本展では、 6点の新作を発表します。 縦1.94×横2.59mにおよぶ《Diaphanous pink window I》を含む大作3点と、 これまでも連作として描いてきた花やカーペットをモティーフとした小品3点です。
光溢れるショーウインドウを描いた大作3点では、 ガラス壁から自然光が差し込む開放的なポーラ美術館の展示空間にインスパイアされた佐藤が、 閉ざされた室内を暗示する色彩表現を用いた従来の「クローゼットシリーズ」から一転し、 やわらかな光で満たされた空間の描出に挑んでいます。 かすれた筆跡や滴り落ちる絵具の線、 油彩とアクリルが混ざり合うことで生じたにじみは、 光のきらめきや反射、 ハレーションのような効果を生み、 鑑賞者の眼を心地よく刺激します。 人工的に作り出された服を描きながらも、 透明な花びら(= Diaphanous petals)が重なり合うような儚さを感じさせ、 また規則的な服の連なりが多彩な色の線となり、 限りなく抽象的で軽やかな表現へと近づいていくのも、 彼女の作品の魅力です。