伊勢﨑晃一朗展ー成る

本展では伊勢﨑晃一朗氏の作品群の中から、「孕」シリーズ約 6 点を展示します。 「孕」シリーズは高さ約 40 ㎝の楕円形の壷形が変形したような造形作品です。自作の土練機から円柱状に絞り出した土の内側を叩いたりひねったりして成形した後に焼成して制作されます。首が傾いたもの、顎を引いたようなもの、肩が出っ張ったり、腰やお腹が膨らみ曲がったりしたものなど、独特の造形が見る者に多様な思念をうながす豊饒なイメージをもつ作品です。 本展のサブタイトルである「成る」と作品タイトルの「孕」は、窯の炎による自然現象や物理現象に留まらず、作品や土のもつ雰囲気が、空間に及ぼす影響について表現しています。 伊勢﨑晃一朗氏は、美術大学で佐藤忠良氏や舟越桂氏に木彫刻を学びました。先生の一匙で、作品のまわりの雰囲気までもが劇的に変わる体験が印象的であったと話します。木彫で使用していた楠も備前の土も、同じ自然界の生命力あふれる素材として伊勢﨑氏を惹きつけています。