文部科学省の調べでは、4月3日時点での東日本大震災による文化財の被害件数は443件だという。人命救助や復興などが優先されているため、被害の修復は進まず修復不可能なものも多い。
仙台藩・伊達家の菩提寺として知られる瑞巌寺(宮城県松島町)では、庫裏の「しっくい壁」と呼ばれる壁にひび割れができ、表面が大きくはがれ落ちている。壁の修復は、伝統技術を持つ左官業者にしかできず、修理の見通しすらたっていない。また、瑞巌寺のある松島では、津波の影響でで地形が変わった。
大崎八幡宮(仙台市青葉区)でも板壁や漆塗装、彫刻が破損した。
水戸藩の藩校だった「旧弘道館」(茨城県)では、鐘楼が全壊。鹿島神宮本殿(鹿嶋市)では大鳥居が根元から折れて倒壊。岡倉天心が北茨城市の断崖に建てた「茨城大学五浦美術文化研究所六角堂」(国登録有形文化財)は津波で土台だけ残し消失した。
白水阿弥陀堂(福島県いわき市)でも扉まわりに破損が見つかった。
文部科学省が把握しているのは、国宝・重要文化財等が主で、それ以外の文化財については、被害の状況は未知数。4月から「文化財レスキュー事業」もスタートさせたが、実際にどれだけ保護できるか見通しはたたないという。
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msn産経ニュース