リニューアル内容を説明する、杉本博司氏(左)と榊田倫之氏
改修工事のため今年(2016年)の3月から休館しているMOA美術館(静岡・熱海市)は、リニューアル内容を発表する記者会見を都内で開催した。
リニューアルでロビーエリア、展示スペース、ショップ、カフェが一新。設計は、世界的な現代美術作家の杉本博司氏が、建築家の榊田倫之氏と共に主宰する「新素材研究所」が担当した。
改修は、
・創立者 岡田茂吉の願いを継承した美術館
・伝統と現代を融合したデザイン
・素材の見立てによる空間の創造
を基本コンセプトとし、具体的には以前の建築の優れた点は活かしつつ、前近代の素材を「美術品のための設え」として用いた。
以前は展示ケースが向かい合い、対面側が映りこんでいた1階の展示室には、中央に間仕切の壁面を設置。表面は黒漆喰で仕上げたため映り込みが無くなると同時に、展示のシーンが増えたため、展示室全体が広くなったような印象も与える。
黒漆喰は仕上げで生じた微妙なムラが、まるで「サイ・トゥオンブリーの初期の絵画のよう」(杉本氏)で、あたかも抽象画のような効果を生んだという。
国宝「色絵藤花文茶壺」は、新たに展示室を設定。ここは四方が黒漆喰の壁で囲まれ、「色絵藤花文茶壺」の美しさがさらに際立つようになった。黒漆喰の壁は、全部で20メートルに及ぶという。
他にも、国宝「紅白梅図屏風」が展示されるケースには樹齢数百年の行者杉を使った框(かまち)を設けるなど、展示されるものの美を最大限に生かす工夫が随所に盛り込まれている。
リニューアルオープンと同時に開催される展覧会は「リニューアル記念名品展+杉本博司「海景 ─ ATAMI」」(2017年2月5日~3月14日)。次いで「奇想の絵師 岩佐又兵衛 山中常盤物語絵巻 義経伝説全12巻一挙公開」(3月14日~4月25日)が開催される。
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