世界報道写真展は、年初にオランダで開催される「世界報道写真コンテスト」の受賞作を紹介する展覧会です。
4月にアムステルダムで開幕し、1年を通じて45の国と地域、約100の会場で開催。世界中で200万人以上の人々が目にする世界最大級の写真展でもあります。
会場今年は124の国と地域から5247人の写真家が作品を応募。世界報道写真大賞には、スペインのサムエル・アランダ氏がイエメンで撮影した写真が選ばれました。
サレフ大統領に対する抗議の最中に負傷した息子の男性を抱きかかえる女性の写真。二カーブ(目だけ見せるイスラム女性の服装)姿の女性と半裸の男性のコントラストが印象的で、静かな佇まいの中に悲しみが伝わってくるような一枚です。
会場には大賞の写真をはじめ、9つの部門ごとに単写真・組写真が展示。麻薬中毒者の売春婦、エジプト政変で抗議する人々など、時代を切り取った写真が並びます。
会場2011年の報道写真ですので、もちろん東日本大震災も対象となります。震災関連は7名の写真家による19点が受賞。うち3名は日本人です。日本で起きた一つの事象から19点もの作品が選ばれることも異例ですが、3名の日本人が同時に受賞するのは、朝日新聞社が本展に関わるようになった1990年代初頭から初めて。あらためて世界に与えた衝撃の大きさを感じさせます。
日本では本展の後に、大阪・梅田のハービスHALL(8/7~8/16)、京都市の立命館大学国際平和ミュージアム(9/19~10/14)、滋賀県草津市の立命館大学びわこ・くさつキャンパス(10/16~11/1)、大分県別府市の立命館アジア太平洋大学(11/4~11/18)に巡回します。(取材:2012年6月8日)