展覧会は6章構成、冒頭は見事な欄間彫刻からスタートします。
これは二之丸御殿に入るための南からの正門である唐門の欄間彫刻。保存工事にともなって取り外されました。もちろん、東京では初めての展示です。
唐門欄間彫刻 松竹梅に鶴と亀会場前半には、二条城に関連する人物が紹介されています。
寛永3(1626)年に二条城に行幸した後水尾天皇。行幸に備えて大改修を行った徳川秀忠。父とともに上洛して天皇と拝謁した三大将軍家光。そして傑出した造園家として知られる小堀遠州は二条城の造営にも関わりました。
二条城の登場人物 後水尾天皇、徳川秀忠、徳川家光、小堀遠州会場を進むと、襖絵が並びます。展示された襖絵は計30面。二条城の障壁画がこれだけまとまって京都以外で展示されるのは初めてのことです。
展覧会メインビジュアルの《二の丸御殿 大広間四の間 松鷹図》は精悍な鷹が将軍の威光を暗示していますが、将軍のプライベートルームに描かれた《二の丸御殿 白書院二の間 西湖図》は落ち着いた水墨の山水画。世界的にも稀な巨大御用絵師集団・加納派の技が光ります。
襖絵が並ぶ会場楽しい演出なのでぜひご紹介したいのが、下の動画です。会場の途中で鳥の鳴き声のような音が聞こえるでしょうか。
これは「鶯張(うぐいすばり)」で、二の丸御殿を歩いた時に木が擦れ合って発する音です。人の侵入を知らせる警報装置という説もありますが、詳しいことは分かっていません。
ボリュームを上げてお聞きください。鳥の鳴き声のような「鶯張」(うぐいすばり)大政奉還の後、二条城は皇室の離宮となります。唐門に掲げられている菊紋飾金具も展示されていますが、注目はその裏側。うっすらと徳川の葵紋の痕跡が残っています。幕府から朝廷へ、権力の移譲が一枚の銅版に刻印されているのです。
昭和14年には京都市に下賜。平成6年には世界遺産に登録され、現在では京都でも屈指の観光名所になっているのはご存知のとおりです。(取材:2012年7月28日)