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    レポート
    あしたのジョー、の時代展
    練馬区立美術館 | 東京都
    漫画史に輝くラストシーン
    1967年暮れから1973年まで週刊少年マガジンに連載された「あしたのジョー」。連載時に当時の若者の心を捉えた人気ボクシング漫画は、連載40年を経た今でも色あせる事がありません。あしたのジョーとその時代を振り返る展覧会が、練馬区立美術館で開催中です。
    表紙・扉絵の原画が並ぶ
    奥は1970年の実写映画「あしたのジョー」(主演:石橋正次)のポスター
    山田卓司《泪橋の丹下拳闘クラブジオラマ》
    アニメ「あしたのジョー2」の原画
    第2章「あしたのジョー、の時代」 横尾忠則、井上洋介、宇野亜喜良らによるポスター
    第2章「あしたのジョー、の時代」 流しの写真家、渡辺克巳の写真
    葉子の告白を振り切って、ジョーはリングへ…
    (左から)金山明博《死闘》、島本和彦《水と炎》
    開会式で挨拶する、ちばてつやさん
    原作を高森朝雄(梶原一騎の別名義)、作画はちばてつやが手掛けたあしたのジョー。天涯孤独の身でドヤ街に流れ着いた矢吹丈、飲んだくれの師・丹下段平。力石徹をはじめホセ・メンドーサ、カーロス・リベラなど魅力あふれるライバルたち。漫画史に残るエンディングも含め、その世界観はスポーツ漫画のひとつの頂点を築きました。

    本展はあしたのジョーを通し、1960年代末から70年代初頭の文化を4章で振り返る企画です。

    第1章「あしたのジョー、の世界」では、ジョーの冒頭シーンをはじめ表紙・扉絵原画などを紹介。泪橋の下にある丹下拳闘クラブのジオラマには、ちゃんとリングも作られています。


    第1章「あしたのジョー、の世界」

    2~4章は2階で展示。階段にもジョーと力石の絵が描かれ、雰囲気を盛り上げます。第2章は「あしたのジョー、の時代」。当時のレコードなど関連資料を紹介しながら、ジョーが活躍した時代を振り返ります。

    赤軍派による日航機「よど号」ハイジャック事件で、リーダー格の田宮高麿が「我々は"明日のジョー"である」と宣言。あしたのジョーは、反体制的な文化の象徴としてしばしば言及されてきました。

    劇中で1970年に力石徹が死去すると、寺山修司らが中心になって実際に告別式が開催され、800人もが参列しました。本展でも力石の祭壇が設けられています。


    第2章「あしたのジョー、の時代」

    第3章は「あしたのジョー、肉体の叛乱」。ジョーと戦うために減量しガリガリに痩せ細った力石など、あしたのジョーでは肉体の描写も印象に残りますが、この時代は芸術の分野でも肉体を使った表現が多く見られました。

    この章では「万博破壊共闘派」(前衛芸術集団「ゼロ次元」、秋山祐徳太子、末永蒼生ら)、暗黒舞踏の土方巽らによる裸体パフォーマンスが紹介されています。


    第3章「あしたのジョー、肉体の叛乱」

    第4章は「あしたのジョー、あしたはどっちだ」。ジョーの連載は1973年で終了しましたが、その物語は人々の記憶に深く刻まれました。この章には、あしたのジョーへのオマージュ作品が並びます。

    出展したクリエイターは葛西薫、K2(黒田征太郎、長友啓典)、浅葉克己、日比野克彦ら。中でも傑作は及川正通の《ジョーは不死鳥》。顕微鏡内でジョーを再び甦らせたのは、例の研究者です。


    第4章「あしたのジョー、あしたはどっちだ」

    会場には原画も多数出品。あまりにも有名なジョーの最後(最期?)も展示されています。

    葉子の告白を振り切って、世界最強の男が待つリングに向かうジョー。ホセ・メンドーサとの15ラウンドに渡る死闘。血まみれのグローブを葉子に渡したジョーは、真っ白な灰に…。既に語りつくされた感がある場面にも関わらず。涙が出そうになるのは何故でしょうか。


    日本漫画史に残るエンディング

    「あしたのジョー、の時代展」は、漫画家の街としても知られる練馬区だけでの開催です。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年7月19日 ]

    あしたのジョー、の時代

    練馬区立美術館 (編集)

    求龍堂
    ¥ 2,916

     
    会場
    会期
    2014年7月20日(日)~9月21日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    ※入館は、原則として17:30まで
    休館日
    月曜日休館 ただし7月21日(月祝)、9月15日(月祝)は開館 翌日休館
    住所
    東京都練馬区貫井1-36-16
    電話 03-3577-1821
    公式サイト https://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/joe2014.html
    料金
    一般500円、高大学生及び65~74歳300円、中学生以下及び75歳以上無料、障害者手帳をお持ちの方(一般)250円(高大生)150円
    展覧会詳細 あしたのジョー、の時代展 詳細情報
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