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    レポート
    伝統の古典菊
    国立歴史民俗博物館 | 千葉県
    「上から鑑賞」嵯峨菊、「狂う」江戸菊…
    日本を代表する園芸植物のひとつ、菊。平安時代から育成されて人々を楽しませてきました。伝統的な中輪種である「古典菊」を紹介する企画展が、国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑で開催中です。
    嵯峨菊「愛の点滅」歴博オリジナル
    丁子菊「元禄丸」
    伊勢菊「桜吹雪」
    松阪菊「みだれ髪」歴博オリジナル
    下段・中段・上段で7・5・3花ずつ3段に咲かせる「七五三作り」に仕立てた、嵯峨菊
    江戸菊「江戸絵巻」
    江戸菊「春偲」
    肥後菊「窓の月」
    内側の花弁が両手できつく掴んだように巻く、奥州菊(大掴み)
    中国では紀元前から霊薬として栽培されていた、菊。日本には律令期に他の文物とともにもたらされ、平安時代の宮廷ではすでに花の宴が流行していました。

    当初は支配者層に愛でられていた菊は、近世中頃以降になると大衆化。江戸時代には大きなブームにもなっています。

    くらしの植物苑では、古典菊を1999年から収集・展示。古典菊を中心としたこの時期の企画も恒例です。今年は歴博オリジナル約20品種を含む、計136品種を展示します。


    「くらしの植物苑」入口から

    東屋の脇に並べられているのは「嵯峨菊」。嵯峨天皇(786-842)が好み、離宮(現在の大覚寺)の大沢池に植えたのが起源と伝わります。明治になるまで大覚寺のみで栽培され、門外不出でした。

    花は花弁が細く、刷毛(はけ)のように直立。上段3花、中段5花、下段7花の「七五三作り」で仕立てます。

    大覚寺の菊花会では、回廊の下に並べた菊を上から鑑賞。本展でも東屋内に段が設けられ「殿上からの嵯峨菊」をお楽しみいただけます。


    嵯峨菊

    江戸時代の初頭から栽培されはじめた「江戸菊」。他の菊ではみられない花芸(はなげい)が特徴です。

    開き始めてから10日で開き、続く10日で花弁がねじれながら内側に抱えられ、最後の10日は渦を巻いたような姿に。この変化を「狂い」と呼びます。


    江戸菊

    「肥後菊」は宝暦年間(1751~1763)に肥後の細川重賢公が文化政策として始め、240年の歴史を誇ります。

    肥後菊は、栽培法も鑑賞法も独特。本展では鉢植えですが、正式には花壇に直接植えます。三間花壇の場合は、後列に大輪10本、中列に中輪9本、前列は小輪10本。平弁と管弁(ともに花弁のかたち)を交互に、紅・白・黄を斜めに通して配列と、細かなルールが決まっています。

    展示されている菊の中では、最も遅い時期に開花する肥後菊。肥後菊のみは、12月7日(日)まで展示されます。


    肥後菊

    東屋内では「菊細工のはなし」をテーマにしたパネル展示も開催中。11月22日(土)は苗の有償配布も行われますが、いつも開苑直後に完売するほど人気ですので、ご注意ください。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年11月5日 ]

    かんたん・やさしいキクの育て方

    岡ノ谷 幹雄

    ブティック社
     

     
    会場
    国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑
    会期
    2014年11月5日(水)~2014年11月30日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:00(入館は16:30まで) (3~9月)
    9:30~16:30(入館は16:00まで) (10~2月)
    休館日
    11月10日(月)、17日(月)、25日(火)
    住所
    千葉県佐倉市城内町117番地
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.rekihaku.ac.jp/
    料金
    個人(高校生以上) 100円
    団体(20名以上) 50円
    ※小中学生は入苑無料です。
    ※毎週土曜日は高校生は入苑無料です。
    展覧会詳細 伝統の古典菊 詳細情報
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