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    レポート
    ピエール・アレシンスキー展
    Bunkamura ザ・ミュージアム | 東京都
    ベルギー現代美術の第一人者、待望の初個展
    ベルギーの現代美術を代表するアーティスト、ピエール・アレシンスキー(1927-)。若い頃から注目を集め、90歳近い今でも情熱的な活動を続けています。日本初の大規模展が、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中です。
    (左から)《極地の夜》1964年 ベルギー王立美術館 / 《ある日トリノにて》1964年 姫路市立美術館
    (上から時計回りで)《職業「美容師」》1948年(2001年再刷) / 《職業「兵士」》1948年(2001年再刷) / 《職業「自動車整備士」》1948年(2001年再刷) / 《職業「漁師」》1948年(2001年再刷) すべてベルギー王立美術館
    (左から)《新聞雑報》1959年 いわき市立美術館 / 《誕生する緑》1960年 ベルギー王立美術館
    (左から)《魔法にかけられた火山》1974年 オステンド美術館 / 《写真に対抗して》1969年 ベルギーINGコレクション / 《ときには逆もある》1970年 ベルギー王立美術館
    (左から)《護り神》1980年 いわき市立美術館 / 《至る所から》1982年 ベルギー王立美術館
    (左から)《肝心な森》1981-84年 作家蔵 / 《紙と墨の城壁》1979年 ベルギー王立美術館 / 《中庭への窓》1977年 ベルギー王立美術館 / 《マス目ごとに》1980年 作家蔵 / 《覆い尽くす動き》1979年 作家蔵
    (左から)《氷の目》1982年 / 《真上から見たニューデリー》1982年 ともに作家蔵
    (左から)《舞台で》2001年 / 《直観的な廊下》2001年 ともに作家蔵
    (左から)《のぞき穴 Ⅲ》2015年 / 《のぞき穴 Ⅳ》2015年 / 《のぞき穴 Ⅱ》2015年 すべて作家蔵
    60年をゆうに超える長いキャリアの中から、ベルギー王立美術館が所蔵する作品を中心に計80件を紹介する本展。会場は5章で構成されています。

    1927年、ブリュッセルで医師の一人息子として生まれたアレシンスキー。左利きでしたが学校で矯正され、文字は右手で、絵は左手で書くようになりました。1949年に前衛芸術集団「コブラ」に参画、コブラは短命に終わりましたが、若いアレシンスキーは大いに刺激を受けました。


    第1章「コブラに加わって」

    第2章は「「書く」から「描く」へ」。アレシンスキーは1952年から京都で書道の雑誌「墨美」を主宰していた前衛書道家の森田子龍と文通を開始。1955年には来日し、短編映画「日本の書」も制作しています。

    この頃、中国系米国人アーティストのウォレス・ティンと出会ったアレシンスキー。床に紙を置き、身体全体を使って描く手法をはじめます。


    第2章「「書く」から「描く」へ」

    第3章は「取囲まれた図像」。60年代中ごろにアレシンスキーは「下部挿画(プレデラ)」というスタイルを始めます。画面の上部にメインのイメージが描かれ、下部にはそのイメージを補完するような別のイメージが帯状に挿入されたもので、西洋絵画の伝統的な手法でもあります。


    第3章「取囲まれた図像」

    第4章は「記憶の彼方に」。1983年以降、アレシンスキーは拓本を制作に取り入れるようになります。対象物を擦って図像を得るこの手法で、アレシンスキーはマンホールの蓋や消火栓、鉄格子などから作品を生み出しています。


    第4章「記憶の彼方に」

    第5章は「おとろえぬ想像力」。アレシンスキーは展覧会開幕日に89歳を迎えましたが、力強い制作は全く揺るぎません。最終章には、2015年に制作された作品も紹介されています。


    第5章「おとろえぬ想像力」

    前述した前衛書道との関わりのほか、禅の画家・仙厓を師と仰ぐなど、実は日本とも関係が深いアレシンスキー。独自のスタイルを持ちながらも、常に新しい表現を模索する姿勢も素晴らしいと思います。Bunkamura ザ・ミュージアムでの開催は12月8日まで、年明けからは国立国際美術館に巡回します(2017年1月28日~4月9日)。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年10月18日 ]



    ■ピエール・アレシンスキー展 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年10月19日(水)~12月8日(木)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(毎週金・土曜日は21:00迄) ※入館は各閉館の30分前まで
    休館日
    10/24(月)のみ休館
    住所
    東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/16_alechinsky/
    料金
    一般 1,400(1,200)円/大学・高校生 1,000(800)円/中学・小学生 700(500)円
    ※()内は20名以上の団体料金及び前売り料金
    展覧会詳細 ピエール・アレシンスキー展 詳細情報
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