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    レポート
    人体 -神秘への挑戦-
    国立科学博物館 | 東京都
    謎に挑んだ足跡と現在
    身近な存在にも関わらず、解明されていない事も多い「人体」。その謎に迫るべく、先人たちもさまざまな挑戦を続けてきました。人体研究の歴史と、最先端の成果を紹介する展覧会が、国立科学博物館で開催中です。
    「骨格の構造と関節の役割」
    左から キンストレーキ(女性)と、キンストレーキ(男性) ※女性は5/17までの限定展示
    レオナルド・ダ・ヴィンチ 「解剖手稿」より 右心室と三尖弁
    左から ホモ・エレクトゥス(ジャワ原人)、ネアンデルタール人(旧人)、ホモ・サピエンス(新人)
    ペンフィールドの「体部位再現図」をもとに製作された、運動野のホムンクルス(左)と、感覚野のホムンクルス(右)
    「ヒト胚の成長模型」 左から CS13(受精後32日目)、CS12(同30日目)、CS10(同28日目)
    「ヒトの骨格の成長 江戸時代の人骨を比較する」
    「ネットワークシンフォニー」
    縄文人女性「船泊遺跡23号人骨」と、船泊23号の復顔像
    昨年9月から今年3月にかけて、NHKスペシャルで放送された「人体 神秘の巨大ネットワーク」。タモリさんと山中伸弥さんによる軽快なナビゲートで人体の謎を解き明かすこの番組を、楽しんでいた方も多いと思います。

    展覧会は番組と連動した企画展。高精細映像に加えて、世界各国から集められた貴重な資料が並ぶ3章構成です。

    第1章「人体理解へのプロローグ」は、歴史資料が中心。人体研究が大きく進んだのは、ルネサンス期。ダ・ヴィンチは絵画制作のため人体を理解しようと、多くの解剖図を描きました。

    古代ローマ時代から滞っていた人体理解を大きく進めたのが、近代解剖学の祖・ヴェサリウス。解剖図譜「ファブリカ」は、医学関係者でその存在を知らぬ人はいない、歴史的な資料です。

    ひときわ目を引く人体模型は、キンストレーキ。19世紀に紙粘土でつくられた教育用の人体模型で、日本国内には4体しか現存しません。


    第1章「人体理解へのプロローグ」

    続く第2章「現代の人体理解とその歴史」が、展覧会のメインです。「循環器系と泌尿器系」「神経系」「消火器系と呼吸器系」「運動器系」「人体の発生と成長」という5つのサブカテゴリで、人体の構造と機能を紹介していきます。

    臓器など人体の各部位が「なぜこのような形なのか」という問いに答えを出すのは、実は簡単ではありません。機能面では説明できない事例もある中で、大きなヒントとなるのが、他の動物との比較。会場では人間の臓器とともに、多くの動物の臓器も展示されています。

    技術の発展は、人体研究に大きな成果を与えました。顕微鏡の発明により、毛細血管を流れる血液を確認した事で「血液の循環」が証明されました。

    幻想的な「ネットワークシンフォニー」は、最新の研究成果を色や音で表現した空間です。脳からの指令で臓器が働くのではなく、臓器同士による情報のやりとり。‘クライアントサーバー型’ではなく‘P2P型’、と言えるかもしれません。


    第2章「現代の人体理解とその歴史」

    美しい「体内美術館」の写真を見ながら、第3章「人体理解の将来へ向けて」に続きます。

    ゲノム解析は、今後の進歩が期待される分野。高速でDNA配列を決定できる次世代型シークエンサの開発により、DNAレベルでの縄文人の復顔が実現しました。3800年前の縄文人からも「A型の女性」「肌の色が濃い」「両親の血縁関係が近い」「お酒が強い」事まで分かります。


    第3章「人体理解の将来へ向けて」

    奥深い人体の世界をわかりやすく解説してくれる本展。会期は長めですが、すでに土日を中心に入場待ちの時間も出ているようです。混雑状況は公式ツイッターなどでご確認ください。現在の所、巡回の予定はなく国立科学博物館だけでの開催予定となっています。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年3月12日 ]

    NHKスペシャル 人体 神秘の巨大ネットワーク 第1巻NHKスペシャル 人体 神秘の巨大ネットワーク 第1巻

    NHKスペシャル「人体」取材班 (編集)

    東京書籍
    ¥ 2,916

    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon


    ■人体 神秘への挑戦 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2018年3月13日(火)~6月17日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:00~17:00(入館は16:30まで)
    ※当面の間、常設展示の夜間開館(金曜日・土曜日 17:00~20:00)は休止いたします。
    休館日
    毎週月曜日 ただし3月26日(月)、4月2日(月)、4月30日(月・振替休日)、6月11日(月)は開館
    住所
    東京都台東区上野公園7-20
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://jintai2018.jp/
    料金
    一般・大学生1,600(1,400)円/小・中・高校生600(500)円

    ※( )内は前売券価格
    ※前売券は国立科学博物館、各プレイガイドにて3月12日(月)まで販売
    ※本展を観覧された方は、同じ券で同日に限り常設展もご覧いただけます
    ※未就学児無料
    ※障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名様は無料
    展覧会詳細 人体 -神秘への挑戦- 詳細情報
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