戦後、竹久夢二の画集を次々と出版した龍星閣は、第二次夢二ブームを牽引した存在でした。夢二の著作や画集を出版するために、収集された膨大な夢二コレクションが4章構成で紹介されます。
第1章「夢二のはじまり」は、当時、女学生に人気であった『夢二画集』八巻すべてが並びます。少年少女、青年たちの心をとらえた夢二は、子供向けの本を多数出版していきます。
第1章「夢二のはじまり」第2章「可愛いもの、美しいもの」では、デザイナー・夢二の作品が展示されています。
なかでも「港屋絵草紙店」で売られた封筒やうちわ、「つるや」から販売された絵葉書は、現代でも通用するデザイン。流行の最先端を作った夢二の活躍が展覧できます。
第2章「可愛いもの、美しいもの」続く第3章「目で見る音楽」では、セノオ音楽出版社から発行されたセノオ楽譜をはじめとする、夢二が手掛けた楽譜の表紙が紹介されています。
展示室の壁面にずらりと並ぶ個性豊かな楽譜の表紙は、タイトルも文字も夢二によって図案化されたものです。
第3章「目で見る音楽」第4章「出帆」では、夢二の半生を綴った自伝小説『出帆』(昭和2年・都新聞で連載)の原画が夢二の年譜に組み込まれて展示されています。
文章に付された134点の挿絵には、夢二が愛した女性たちや、彼女たちと訪れた思い出の風景、あるいは抽象的な心理描写などが水墨で描かれています。郷愁を誘う絵にご注目ください。
4章「出帆」「夢二繚乱」のタイトルにふさわしく、夢二の多彩な創作活動が一望いただけます。
今まで画家としての竹久夢二しか知らなかった方はぜひ。初公開となる画文集『揺籃』に綴られる文章は、胸に迫るものがありました。
[ 取材・撮影・文:静居絵里菜 / 2018年5月18日 ]■千代田区×東京ステーションギャラリー「夢二繚乱」 に関するツイート