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    レポート
    ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界
    三菱一号館美術館 | 東京都
    ナポレオンが愛した装飾芸術
    全世界中の女性が憧れる高級ジュエリーメゾン、ショーメ。創業は1780年、ナポレオン1世と皇妃ジョゼフィーヌをも虜にした優雅な装飾芸術は、240年以上を経た現在でも、新しい価値を生み続けています。煌びやかな宝飾品とデザイン画など約300点で、ショーメの伝統と歴史を紹介する日本初の展覧会が、三菱一号館美術館で開催中です。
    3章「戴冠!ティアラの芸術」 手前右下は《「ベスボロー」のティアラ》マルセル・ショーメ 1931年 個人蔵
    1章「歴史の中のショーメ」
    《皇帝ナポレオン1世より贈呈された教皇ピウス7世のティアラ》アンリ・オーギュスト(金銀細工職人)、マリ=エティエンヌ・ニト、フランソワ=ルニョー・ニト 1804-1805年(後世に数回修正) ローマ、教皇庁聖具室
    1章「歴史の中のショーメ」
    4章「旅するショーメ」
    (手前)《6羽のダイヤモンドのツバメの連作》ジョゼフ・ショーメ 1890年 ラリック美術館、ウィンジャン=シュル=モデール、シャイ・バンドマン&ロナルド・オオイ寄託
    《「メアリー・スチュアート」のエグレット》ジョゼフ・ショーメ 1910年頃 パリ、ショーメ・コレクション
    《ジャポニスムのブローチ「雷神」》ジョゼフ・ショーメ 1900年頃 パリ、ショーメ・コレクション
    《「シャン ドゥ プランタン」ネックレス》ショーメ 2018年 ショーメ・パリ
    マリ=エティエンヌ・ニト(1750-1809)がパリに開いた金銀細工店をルーツに持つショーメ。本展は、卓越したサヴォワール=フェール(職人技)から生まれたショーメのクリエーションを総覧する企画です。

    会場構成は時代順ではありませんが、冒頭には歴史的な作品を展示。戴冠衣裳のナポレオン1世の宝石をセッティングしたのは、マリ=エティエンヌ・ニト。皇妃ジョゼフィーヌとも縁が深く、1805年には公式ジュエラーになりました。

    絵画に描かれたジュエリーも。ナポレオン3世から贈られた、三つ葉のクローバーのブローチをつけているのは、皇妃ウジェニーです。

    前半最大の見せ場が、3章の「戴冠!ティアラの芸術」。皇妃ジョゼフィーヌにより第一帝政期に再び脚光を浴びるようになったティアラを、ショーメは数多く制作してきました。

    展示室に入ると、ティアラのデザイン見本であるマイヨショール(洋銀などでつくられたモデル)とともに、19世紀前半から現代までのティアラが20点。華麗なデザインと眩い輝き、夢のような世界が広がります。このコーナーは撮影可能です。


    1~3章

    中国やインドなど東洋の文化からインスピレーションを受けた作品も数多く作っているショーメ。また、植物や昆虫など自然の形態から着想を得た作品も目立ちます。

    ショーメの高い創造力を示しているのが、トランスフォーム(変化)するジュエリー。ネックレスとしても使えるティアラ、チョーカーとしても使えるヘッドバンドなど、ひとつの作品が別の作品に変わる事で、身に着ける女性もトランスフォームします。

    展覧会最後は、ショーメと日本について。ショーメ創業者のマリ=エティエンヌ・ニトは、王妃マリー・アントワネットが所有していた日本漆器の鑑定に加わるなど、両者は古くから関係性を持っていました。今回のショーメ展のために制作されたパリュール(ジュエリーのセット)《シャン ドゥ プランタン》は、西洋の文化圏と日本文化とのマリアージュ(結婚)をイメージしています。


    4~8章

    ジョサイア・コンドルの設計で1894年に建てられた洋風事務所建築がベースとなっている三菱一号館美術館。小部屋が続く独特の展示空間は、歴史的なブランドであるショーメの宝飾品を見事に引き立てています。

    まさにこの美術館でしか、成し得なかった展覧会です。他館への巡回もありませんので、くれぐれもお見逃しなく。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年6月26日 ]

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    ソフィー リチャード(著),山本 やよい(翻訳)

    集英社インターナショナル
    ¥ 2,376

    料金一般当日:1700円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2018年6月28日(木)~9月17日(月・祝)
    会期終了
    開館時間
    10時~18時 / 金(祝日を除く)のみ10時~20時
    ※10/5より開館時間が変更になりました。
    ※いずれも最終入館は閉館30分前まで
    休館日
    月曜日(ただし7月16日、9月10日、9月17日と、トークフリーデの7月30日、8月27日は開館)
    住所
    東京都千代田区丸の内2-6-2
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト https://mimt.jp/chaumet/
    料金
    一般 1700(1500)円/高校・大学生 1000円/小・中学生 500円

    ※( )内は前売料
    展覧会詳細 ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界 詳細情報
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