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    レポート
    没後50年 藤田嗣治展
    東京都美術館 | 東京都
    過去最大の回顧展
    藤田の代名詞「乳白色の下地」による裸婦がずらり。国内外の所蔵者から代表作品が集結する、史上最大規模の藤田嗣治展が東京都美術館ではじまりました。初期から晩年まで約100点で、改めて藤田芸術の本質に迫ります。
    《カフェ》1949年 ポンピドゥー・センター(フランス・パリ)蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
    《二人の少女》1918年 プティ・パレ美術館(フランス・パリ)蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
    《自画像》1929年 東京国立近代美術館蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
    《エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像》1922年 シカゴ美術館(アメリカ)蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
    会場風景 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
    会場風景 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
    《フルール河岸 ノートル=ダム大聖堂》1950年 ポンピドゥー・センター(フランス・パリ)蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
    《礼拝》1962-63年 パリ市立近代美術館(フランス)蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
    会場風景 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

    渡仏先で独自の画風を確立し、エコール・ド・パリの寵児として活躍した藤田嗣治。世界に羽ばたいた日本人画家は数多くいますが、フランスにおいて真の意味で名を残した日本人画家は、藤田嗣治ただひとりかもしれません(他では、あえて言えば北斎でしょうか)。


    藤田は1968年に亡くなりましたが、君江夫人の意向もあり、まとまったかたちでの展覧会はなかなか開催されませんでした。ようやく展覧会が開かれ出したのは、2006年頃から。本展には国内の所蔵先約50カ所に加え、フランス、スイス、ベルギー、アメリカなど海外からも代表作が集結し、文字通り、過去最大規模の藤田嗣治展になりました。


    会場は8章構成で、ほぼ時代順。東京美術学校在学中の作品から、生涯最後の個展に出品された宗教画まで、画業の全貌を通覧します。


    藤田の代表作といえば、やはり「乳白色の下地」による裸婦。藤田は1920年代にこのスタイルを確立し、パリで大成功を収めました。単体や群像図など、第4章に14点の裸婦(うち2点はポスター)が並びます。


    対照的な作品が「作戦記録画」。第二次大戦期に日本に戻った藤田は、おかっぱ頭を丸刈りにして、祖国のために絵筆をふるいました。会場では《アッツ島玉砕》《サイパン島同胞臣節を全うす》を並べて展示。前後の作品とあわせて見る事で、改めてこの時代の異様さが浮かび上がります。


    「作戦記録画」への関与が仇となり、戦後は追われるようにフランスに戻った藤田。フランス国籍を取得し、日本国籍を放棄。晩年にはカトリックの洗礼を受け、キリスト教をテーマにした絵画を数多く描きました。81歳で永眠、自らが建てた北フランスのランスの礼拝堂に埋葬されています。



    著作権の関係もあって会場風景があまりご紹介できませんが、藤田の全てを通覧できる豪華な展覧会です。「藤田らしくない」作品も堪能できます。


    来年にはパリ日本文化会館でも「藤田嗣治」展が開催(2019年1月16日~3月16日)、「作戦記録画」が初めて海外で展示されます。海外での反応も楽しみです。


    東京都美術館での展示は10月8日まで。秋の連休まで開催されますが、総じて展覧会は会期末が混雑しますので、早めの鑑賞をおすすめいたします。続いて、京都国立近代美術館に巡回します(10/19~12/16)


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年7月30日 ]


    もっと知りたい藤田嗣治―生涯と作品もっと知りたい藤田嗣治―生涯と作品

    林 洋子(著,監修),内呂 博之(著)

    東京美術
    ¥ 1,944

    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

    会場
    会期
    2018年7月31日(火)~10月8日(月・祝)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:30
    休館日
    月曜日、9月18日(火)、25日(火) ※ただし、8月13日(月)、9月17日(月・祝)、24日(月・休)、10月1日(月)、8日(月・祝)は開室
    住所
    東京都台東区上野公園8-36
    電話 03-5777-8600(ハローダイアル)
    公式サイト http://www.tobikan.jp/exhibition/2018_foujita.html
    料金
    【前売券】
    一般 1,400円 / 大学生・専門学校生 1,100円 / 高校生 600円 / 65歳以上 800円

    【当日券】
    一般 1,600(1,400)円 / 大学生・専門学校生 1,300(1,100)円 / 高校生 800(600)円 / 65歳以上 1,000(800)円

    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※中学生以下は無料
    ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料(要証明)
    展覧会詳細 没後50年 藤田嗣治展 詳細情報
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