設備整備のため7月9日(月)から休館していた根津美術館。展示室が大きく変わったわけではありませんが、アプローチの敷石が張り替えられるなど、各所を手直し。化粧直しした姿での再オープンとなりました。
本展は3章構成で、第1章「海を渡り交流する禅僧たち」から。日本と中国の間で僧侶の交流が最も盛んだったのは、13世紀半ばからの約100年間。日本の僧が中国に留学した他、中国からも高名な禅僧が数多く来日しました。参禅した日本の僧が、その証として書いてもらった印可状や道号偈が、今日まで大切に守り伝えられています。
2章は「師弟間の関わり」。多くの禅僧の名前が登場する中で、ぜひ覚えていただきたいのが無準師範(ぶじゅんしはん)。中国・南宋の高僧で、京都・東福寺開山の円爾(えんに)も直弟子です。無準を写実的に描いた見事な肖像画は、無準の偉大さを示しています。
3章は「禅僧と水墨画」。水墨画の画面上部に、絵画を鑑賞した僧の詩が入っている「詩画軸」。中国の文人文化にならって成立した日本の文化サークルの中から生まれた、独自の様式です。
展示室2には、関東で活躍した画僧たちも紹介されています。昨年、大規模展が開かれた雪村も、関東の画僧(常陸国生まれ)。各地で交流を持ちながら、東北まで遍歴しています。
根津美術館の展覧会は、規模が大きな「特別展」と、やや小規模の「企画展」(入場料も異なります)。本展は「企画展」ですが、他館からの出展も多く、「特別展」に匹敵する規模となりました。
禅僧にちなんだ企画という事もあり、美術館の中二階では、庭に向かって座禅に挑戦できるスペースも設置されました(根津美術館では初めての試みです)。お時間がある方は、ぜひトライしてみてください。
また根津美術館では、早くも2019年度の展覧会予定も発表されました。特別展は燕子花図、江戸の茶の湯、虎屋のおひなさま、というラインナップ。企画展も含めて、
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[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年8月31日 ]