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    レポート
    花魁ファッション
    太田記念美術館 | 東京都
    肉筆美人画にうっとり
    豪華な髪形に贅沢な衣裳。花魁(おいらん)は、最新モードをまとった、江戸のファッションリーダーでした。庶民も憧れた花魁の姿は、浮世絵に繰り返し描かれています。花魁の艶やかな装いや、日常のひとこまを捉えた浮世絵を紹介する展覧会が、太田記念美術館で開催中です。
    (左から)鳥文斎栄之《桜下遊女の図》寛政(1789-1801)頃 / 歌川豊春《桜下花魁道中図》天明-寛政(1781-1801)
    (左から)朝山芦国 山口素絢 勝川春暁《三都遊女図》作画:文政元年(1818)以前 画讃:天保7年(1836) / 歌川豊清《花魁立姿図》文化9-文政3年(1812-20)
    鳥高斎栄昌《扇屋見世略 あやこし はしたて はなひと》寛政(1789-1801)中期頃
    (左から)長陽堂安知《立美人図》宝永-正徳(1704-16)頃 / 梅祐軒勝信《髪をなおす美人図》正徳-享保(1711-36)頃
    (左から)宮川長亀《花魁道中図》正徳-享保(1711-36)頃 / 小野方義《巴屋遊女と禿図》延宝-宝暦(1744-64)頃
    礒田湖龍斎《雛形若菜の初模様 若那や内しら露》安永(1772-81)後期頃 / 鳥居清長《当世遊里美人合 叉江》天明(1781-89)前期頃
    (左から)二代歌川国貞《花盛春長閑》安政3年(1856) / 渓斎英泉《新吉原年中行事 七月七夕星祭燈篭 岡本屋内長太夫》文政(1818-30)後期-天保前期(1830-44)頃
    鳥文斎栄之《吉原十二時絵巻》文化6年(1809)3月
    (左から)豊原国周《善悪三拾六吾人 地獄太夫》明治9年(1876)7月28御届 / 歌川国明《市川団蔵の髭の意休 河原崎権十郎の揚巻の助六 三代目岩井粂三郎の三浦屋揚巻》文久2年(1682)正月
    吉原における遊女の頂点、花魁。美貌はもちろん、著名人と互角に渡り合える知識を持ち、芸事も超一流。夜の商売でありながら、一般人も憧れたその存在は、現代の職業に置き換える事はなかなか困難です。

    花魁の浮世絵を紹介する本展、展示室に入ると、いつもより肉筆画が目立ちます。そもそも、風俗画から美人を抜き出すように成立していった浮世絵。美人画は浮世絵のルーツのひとつといえる存在です。

    1章「美を競う ─ ゴージャスな花魁ファッション」。花魁の花魁たるゆえんは、やはり、美しくある事。着飾る事は、とても大切でした。多くの簪(かんざし)、前で結ぶ帯と、吉原の長い歴史の中で、独特の美意識が育っていきました。

    2章「美を競う ─ 美の歴史」。前述したように、浮世絵創成期からある美人画。菱川師宣の時代から明治半ばまで、約200年描かれた遊女。ファッションも大きく変わりました。

    3章「年中行事」。7月の「玉菊燈籠」、8月の「俄(にわか)」など、吉原では年中行事が盛んです。多くの行事は「紋日(もんび)」と重なりますが、この日は揚代金が、ふだんの2倍。客がつかない遊女は、自分で払わなければいけない決まりです。こういう日にわざわざ行くのが“粋”、という事。ポイント2倍の日を選んで買い物をする自分とは大違いです。



    4章「吉原24時」。遊女の仕事は、もちろん夜がメイン。最も忙しいのは18時頃から0時頃までの「夜見世」ですが、「昼見世」(14時頃~16時頃)も営業しています。いずれにしても、一般の人とは一日の過ごし方が違います。

    5章「さまざまな遊里」。幕府公認の遊郭は吉原のみですが、非公認の遊里もあり、岡場所と呼ばれました。岡場所の中では、品川はランクが高いほうで、深川はもっと庶民的です。

    6章「物語のなかの花魁」。一休と師弟関係になった地獄太夫、仙台藩主の意に沿わなかったため惨殺された二代目高尾(高尾太夫)など、伝説上の遊女は、浮世絵でも数多く表現されました。現代でも花魁や遊女は、しばしば映画や漫画の題材になっています。

    会場2階では、花魁のファッションの変遷(髪形と衣裳)と、遊女のランクについてもパネルで解説。遊女のランクは時代によって変わり、以前の最上位は「太夫」、後に「呼び出し昼三(ちゅうさん)」が最上位になります。では花魁は? というと、実は花魁はランクの名前ではなく、あくまでも上位の遊女に対する通称です。

    前期展は11月25日(日)まで、後期展は11月30日(金)~12月20日(木)。前後期で全ての作品が展示替えされます。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年11月1日 ]


     
    会場
    会期
    2018年11月2日(金)~12月20日(木)
    会期終了
    開館時間
    10:30~17:30(入館17:00まで)
    休館日
    月曜日 11/26~11/29(展示替えのため)
    住所
    東京都渋谷区神宮前1-10-10
    電話 03-5777-8600
    公式サイト http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/
    料金
    一般 700円 / 高校・大学生 / 500円 / 中学生以下無料
    展覧会詳細 花魁ファッション 詳細情報
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