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    レポート
    ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代
    国立国際美術館 | 大阪府
    眩しく見えた、段ボールアート
    昭和から平成に時代が変わり、バブル景気に沸いた1980年代。戦後の日本美術に注目が集まる中、ズバリ80年代の日本美術に焦点を当てた展覧会が、国立国際美術館で開催中です。
    (左手前)日比野克彦《BJ.MACKEY》1982 岐阜県美術館 / (右奥)山倉研志《香り》1983 兵庫県立美術館
    (左から)中西學《THE ROCKIN' BAND: The Drummer》1985 作家蔵 / 中西學《THE ROCKIN' BAND: The Guitar Man》1985 作家蔵 / 中西學《THE ROCKIN' BAND: The Bass Man》1985 作家蔵
    (左から)松井智惠《Harehearted Sleep》1982 作家蔵 / 中原浩大《Pine Yree Installation;アトム》1983 ギャラリー16
    (左から)森村泰昌《肖像(ゴッホ)》1985 国立国際美術館 / 森村泰昌《肖像(カミーユ・ルーラン)》1985 国立国際美術館 / 吉本作次《中断された眠りⅠ》1985 作家蔵(名古屋市美術館寄託)
    (左)川俣正《P.S.1 プロジェクト》1984 国立国際美術館 / (右上から)川俣正《P.S.1 プロジェクト プラン(A)》1984 国立国際美術館 / 川俣正《P.S.1 プロジェクト プラン(D)》1984 国立国際美術館 / 川俣正《P.S.1 プロジェクト プラン(E)》1984 国立国際美術館
    (左から)田嶋悦子《HIP GARDEN - Flower》1987 大原美術館 / 橘田尚之《work86-1》1986 作家蔵
    (左)吉野辰海《水犬》1988 国立国際美術館 / (中央奥)舟越桂《傾いた雲》1988 国立国際美術館 / (右)石原友明《I.S.M.(スカート)》1988 国立国際美術館
    (左から)根岸芳郎《88-8-21》1988大原美術館 / 横溝秀実《無題》1988 作家蔵
    (左から)関口敦仁《水仙女の落し物》1986 作家蔵 / 荒敦子《ドレス図》1986 世田谷美術館
    近年、注目を集めている日本の戦後美術。内外の展覧会で「具体」や「もの派」が紹介され、その先進性に改めて光が当たっています。

    以前は戦後美術といえば、概ね70年代までの動向に光が当たっていましたが、今年になって状況は一変。本展に先立って、7月には「起点としての80年代」展が金沢21世紀美術館で開催(高松、静岡に巡回)されるなど、80年代の時代の美術も、歴史的な流れの中で考察する動きが見えてきました。

    本展は、国立国際美術館のみでの単独開催です。大阪万博の流れを受けて開館した同館は、現代美術を数多く所有。本展も出展作品の約半数が館蔵品と、国立国際美術館ならではの企画展といえます。

    会場はクロノロジカル(年代順)の構成。1980~89年までを2年ずつに分け、5つのセクションで紹介しています(図録では1年ずつの構成)。各章では当時の社会状況も紹介する事で、時代性を踏まえて作品を実感してもらいます。

    展示作品は78点。作家の年齢層は意外と幅が広く、30年代生まれから60年代生まれまで65名。ほぼ1人1作品です。

    戦後の日本美術を説明する際、1950年代は前衛、60年代は反芸術、70年代は「もの派」や概念芸術と、ここまでは傾向を説明しやすいのに対して、全体像を捉えにくい80年代の美術。会場に並ぶ作品の「80年らしさ」が何なのか、一言で説明するのはなかなか困難です。今回の展覧会でも、この時代の美術館が何だったのか、結論づけていません。

    この時代を象徴する美術家をあえて一人あげるなら、日比野克彦さんでしょうか。自身の若々しさと、段ボールの軽やかな作品は、堅苦しい「美術」という枠を超えて、社会に広まっていきました。

    「セゾン文化」に代表される商業的な潮流が強かったとはいえ、美術と社会の接近は、この時代の特徴のひとつです。日比野さんの名前も、同時代の美術家よりも、糸井重里、田中康夫、ホイチョイ・プロダクションなどと並べるほうが、しっくりするように感じられます。

    同時開催の「コレクション2:80年代の時代精神(ツァイトガイスト)から」も、80年代の美術がテーマ。ここでは、70年代までの美術が「表現、解釈、制作」の放棄を目指したに対し、80年代はそれぞれが復権した、としています。あわせてご覧いただく事で、自分なりの「80年代の美術」が整理してみてください。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年11月2日 ]

    1980年代1980年代

    斎藤 美奈子 (編集), 成田 龍一 (編集)

    河出書房新社
    ¥ 1,944

     
    会場
    会期
    2018年11月3日(土・祝)~2019年1月20日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00 (入場は16:30まで)
    金曜日・土曜日は20:00まで(入場は19:30まで)

    ※7~9月の金曜・土曜は21:00まで(入場は20:30まで)
    ※開館時間は臨時に変更する場合があります。
    休館日
    月曜日(ただし、12月24日、1月14日は開館、翌日休館)、年末年始(12月28日~1月4日)
    住所
    大阪府大阪市北区中之島4-2-55
    電話 06-6447-4680(代)
    公式サイト http://www.nmao.go.jp/
    料金
    一般 900(600)円 / 大学生 500(250)円

    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※高校生以下・18歳未満は無料(要証明)
    ※心身に障がいのある方とその付添者1名は無料(要証明)
    展覧会詳細 ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代 詳細情報
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