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    レポート
    江戸の街道をゆく~将軍と姫君の旅路~
    【2025年度中まで全館休館予定】東京都江戸東京博物館 | 東京都
    朱傘が目印です
    江戸時代、日本橋を起点に整備された五街道。人々が往来し、さまざまな物資が運ばれたのはもちろんですが、将軍や姫君は行列で権威を誇示し、その模様は庶民も楽しみにしていました。「江戸の街道」をテーマにした特別展が、東京都江戸東京博物館で開催中です。
    (手前)《黒漆丸十紋散牡丹唐草蒔絵女乗物》 江戸時代後期 東京都江戸東京博物館蔵
    (左手前3点)《香札香包蒔絵鞍鐙》 江戸時代 東京都江戸東京博物館蔵 / (奥)《菊桐紋蒔貝鞍》 江戸時代 東京都江戸東京博物館蔵
    (左から)《梨子地星梅鉢紋散木目文刀筒》 江戸時代後期 東京都江戸東京博物館蔵 / 《三引両竹雀紋散蒔絵刀筒》 江戸時代中期以降 東京都江戸東京博物館蔵
    《楽宮下向絵巻》青木正忠/画 文化元年(1804) 東京都江戸東京博物館蔵
    《葵牡丹紋付油単》 江戸時代末期 東京都江戸東京博物館蔵
    (手前)《村梨子地葵葉菊紋散花桐唐草蒔絵耳盥・輪台》 江戸時代末期 東京都江戸東京博物館蔵 / (右奥)《村梨子地葵葉菊紋散花桐唐草蒔絵眉作箱》 江戸時代末期 東京都江戸東京博物館蔵 / (さらに右奥)《村梨子地葉菊紋散蒔絵耳盥》 江戸時代末期-明治時代 東京都江戸東京博物館蔵
    《東海道五十三次図屏風》狩野宗信/筆 寛文年間(1661-73) 東京都江戸東京博物館蔵 ※5/26(月)までは複製を展示
    (左から)《東海道 佐屋》歌川芳盛/画 魚屋栄吉/版 文久3年(1863)4月 東京都江戸東京博物館蔵 / 《東海道 藤川》歌川芳虎/画 佐野屋富五郎/版 文久3年(1863)4月 東京都江戸東京博物館蔵
    (左から)《ペリー舶載汽車模型之図》 嘉永7年(1854)3月 東京都江戸東京博物館蔵 / 《イラストレイテッド・ロンドン・ニュース(鉄道開業式について)》 1872年12月21日(明治5年111月21日) 東京都江戸東京博物館蔵

    関ヶ原の戦いで勝利し、覇権を握った徳川家康。江戸を中心に全国を支配するために、交通網を整備しました。


    展覧会も、家康の肖像からスタート。プロローグでは、日本橋とその周辺が紹介されています。


    第1章は「武家の通行~威信をかけた旅路~」。戦国時代なら武力=権威でしたが、江戸時代は天下泰平。将軍や大名は、行列でその権威を示そうとしました。


    参勤交代は、徳川家光が武家諸法度を改定した際に制度化されました。大名行列は示威行為でもあり、大名同士も競い合うため、華美な道具が作られました。


    徳川将軍家は日光社参へ。家康を祀る日光東照宮と、家光を祀る大猷院(たいゆういん)を目指して、数々の将軍が参詣しました。日光に最も多く行ったのは家光です。



    第2章は「姫君の下向~華麗なる婚礼の旅路~」。家光以降、将軍家の正室は摂家と宮家から迎えることが慣例になりました。


    姫君は、京都から中山道を通って江戸へ。距離は東海道の方が近いのですが、河川を越える時に荒天だと日程が読めなくなるので、計算しやすい中山道が好まれました。


    本展注目の作品が、全長約24メートルの《楽宮下向絵巻》です。有栖川宮織仁親王の第八王女・楽宮(さざのみや)が、12代将軍・家慶に嫁ぐため、中山道を下向する模様を描いた大作です。


    豪華な行列だけでなく、沿道の賑やかな人々も見もの。ただ、主役の楽宮は描かれず、朱傘と「御」の字だけで表されています。


    《葵牡丹紋付油単》は、長持のカバー。下の方にある小さな若竹の葉は、篤姫の御印なので、篤姫婚礼の際に使われたと思われます。


    ひときわ目をひく豪華な乗物は、《黒漆丸十紋散牡丹唐草蒔絵女乗物》。薩摩藩島津家の女乗物で、江戸東京博物館では初公開となります。


    第3章は「幕末の将軍上洛~描かれた徳川家茂の旅路~」。ペリー来航の混乱もあって、文久3年(1863)に14代将軍の家茂は上洛。将軍の上洛は、実に229年ぶりの事でした。


    将軍の上洛は大きな話題となり、その様子は数多くの錦絵に。ここでも将軍の場所は、朱傘が目印になります。


    明治に入ると、街道の風景は大きく変化。新橋~横浜間の鉄道開業を皮切りに、交通手段も整備され、短時間での移動も可能になりました。


    エピローグでは日本橋など3カ所の江戸時代・近代・現代の姿が紹介されています。


    江戸時代の街道と現在の主要道路は位置が異なるものも少なくありませんが、多くが「旧街道」として現存しています。さらに、その名称はすっかり定着しています。


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年4月26日 ]


    フランス人がときめいた日本の美術館フランス人がときめいた日本の美術館

    ソフィー・リチャード(著),山本 やよい(翻訳)

    集英社インターナショナル
    ¥ 2,376

    会場
    会期
    2019年4月27日(土)~6月16日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:30
    ※入館は閉館の30分前まで。
    休館日
    5月7日(火)・27日(月)、6月3日(月)・10日(月)
    住所
    東京都墨田区横網1-4-1
    電話 03-3626-9974(代表)
    公式サイト https://www.edo-tokyo-museum.or.jp
    料金
    【特別展専用券】
    一般 1,000(800)円 / 大学・専門学校生 800(640)円 / 小学生・中学生・高校生・65歳以上 500(400)円

    【特別展・常設展共通券】
    一般1,280(1,020)円 / 大学・専門学校生 1,020(810)円 / 中学生(都外)・高校生・65歳以上 640(510)円

    【特別展前売券】
    一般 800円 / 大学・専門学校生 640円 / 小学生・中学生・高校生・65歳以上 400円

    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※前売券は2019年3月1日(金)~4月26日(金)まで販売
    ※会期中は当日券のみを販売
    ※次の場合は特別展観覧料が無料です。未就学児童。身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保険福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方(2名まで)
    ※小学生と都内在住・在学の中学生は、常設展示室観覧料が無料のため、共通券はありません
    ※中・高・大学・専門学校生の方は学生証を、65歳以上の方は年齢を証明するもの(健康保険証、運転免許証など)のご提示をお願いいたします。
    ※毎月第3水曜日(シルバーデー)は、65歳以上の方は観覧料が無料です。年齢を証明できるものをお持ちください。
    展覧会詳細 江戸の街道をゆく~将軍と姫君の旅路~ 詳細情報
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