今年で3年目となる「箱根ナイトミュージアム」。野外美術館ならではの光のアートイベントとして、お馴染みになりました。
光の演出を手がけているのは、高橋匡太(1970-)さん。越後妻有で毎年開催されている雪アートプロジェクト《Gift for Frozen Village》など、照明や映像を使ったさまざまなプロジェクトを手がけているアーティストです。
イベントでは例年と同様、無料で貸し出される提灯を持って、彫刻を見ながら庭園を歩いて巡ります。提灯内のLEDは、出会う彫刻や風景のライトアップに呼応し、光の色が変わっていきます。
毎年少しずつ進化している箱根ナイトミュージアムですが、今年はライトアップエリアが拡大されました。これまでは本館エリア屋外展示場まででしたが、橋を越えた先の緑影広場もライトアップ。ニキ・ド・サン・ファールの巨大な女性像《ミス・ブラック・パワー》なども、カラフルな光に照らされます。
そして、今年の目玉といえるのが、ガブリエル・ロアール《幸せをよぶシンフォニー彫刻》のライトアップ。こちらはステンドグラスの塔の作品で、高さ16メートル。昼に搭の中に入ると、外光に輝くステンドグラスに包まれ、SNSでも有名な“映える”スポットです。螺旋階段を登って屋上に出ると、遠くの山々も見渡せます。
この作品が今年はライトアップに加わった事で、昼も夜も見逃せなくなりました。ライトアップには山中透(1960-)さんによる音楽の演出にあわせるように、徐々に色が変化。巨大な影絵の塔が浮かび上がるような、幻想的な世界をお楽しみいただけます。
いつもは17時までの開館時間も、ライトアップ期間中は18時まで延長(入館は16時半まで)。今年7月に理ニューアルされ、ナチュラルで明るいイメージに生まれ変わったピカソ館も、18時まで鑑賞可能です。
《ネットの森》や《しゃぼん玉のお城》など体験型のアート作品や、楽しく彫刻を学べる「よりみち美術館」「彫刻の森研究所」などもあり、子どもにも優しい彫刻の森美術館。公共交通機関を利用される方は、帰りのバスの時間もご確認の上、観覧ください。あと、防寒対策も忘れずに。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年12月4日 ]