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    レポート
    いっぴん、ベッピン、絶品! ~歌麿、北斎、浮世絵師たちの絵画
    渋谷区立松濤美術館 | 東京都
    肉筆美人画で浮世絵史を通覧
    【開催中止】江戸時代を代表する文化のひとつといえる、浮世絵。広く知られるのは多色摺木版画ですが、絵師の力量が良く分かるのは、一点ものの肉筆画です。肉筆浮世絵の美人画を数多く揃えた展覧会が、渋谷区立松濤美術館で開催されます。
    会場
    《美人と役者図》寛文(1661~73)頃 個人蔵[通期展示]
    松野親信《読書美人図》宝永~正徳(1704~16)個人蔵[通期展示]
    重要文化財 勝川春章《雪月花図》天明7~8年(1787~88)MOA美術館蔵[展示期間:4月26日まで]
    (左から)西川祐信《立姿美人図》元文(1736~41) / 月岡雪鼎《梅に美人図》安永元~7年(1772~78) ともに(公財)摘水軒記念文化振興財団蔵[ともに通期展示]
    (左から)喜多川歌麿《雪兎図》寛政(1789~1801)後期頃 個人蔵[通期展示] / 喜多川歌麿《嶋台持つ娘立姿図》文化(1804~18)初期 (公財)摘水軒記念文化振興財団蔵[展示期間:4月26日まで]
    (左から)葛飾辰女《朝顔美人図》文化~文政(1804~30)頃 / 抱亭五清《粧い美人図》文化~天保(1804~44)頃 ともに(公財)摘水軒記念文化振興財団蔵[ともに通期展示]
    歌川国芳《三美人化粧之図》嘉永(1848~54)(公財)摘水軒記念文化振興財団蔵[通期展示]
    歌川豊春《艶画十貮図》(部分)天明~寛政(1781~1801)頃 個人蔵[展示期間:4月26日まで]

    約80件(会期中通して)の肉筆画を、全8章で紹介する本展。重要文化財や重要美術品、そして新発見・再発見作品も含まれる、豪華なラインナップです。


    第1章は「初期風俗画と岩佐又兵衛」。浮世絵のルーツは、世相を描いた風俗画。人物の描写が集団から複数、そして個人へと関心が移り、浮世絵の美人画が生まれました。


    第2章「菱川師宣の登場」。安房国生まれの菱川師宣は、江戸で絵師として成功。ここに浮世絵が成立します。菱川派、懐月堂派、宮川派が、初期の浮世絵美人画を盛り立てていきました。


    第3章「爛熟する浮世絵」。多色摺版画があらわれると、浮世絵はさらに流行。絵師たちの活躍の場が広がるに連れ、肉筆画の需要も拡大しました。ここでは勝川派、北尾派、鳥居派などが紹介されます。



    第4章「西川祐信と京・上方の美人画」。上方の浮世絵は、版画よりも肉筆画の方が先行しました。西川祐信、月岡雪鼎、そして祇園井特と、江戸とは異なる独特の濃さが魅力的です。


    第5章「喜多川歌麿と鳥文斎栄之」。寛政期の美人画といえば、歌麿と栄之。歌麿の肉筆画は多くありませんが、本展では半世紀ぶりに《隈取する童子と美人図》が出品(後期展示)。栄之の美人画は、旗本出身ならではの品の良さが特徴といえます。


    第6章「葛飾北斎とその周辺」。富嶽三十六景をはじめ、風景画で名高い北斎。40代の頃には、美人画の肉筆画を多く手がけていました。この章には北斎と弟子たち、そして同時代の菊川英山や溪斎英泉などの作品が並びます。


    第7章は「歌川派王国の浮世絵師」。歌川豊春から始まる歌川派。門人の豊国、豊広。孫弟子に国貞、広重、国芳。その先も近代まで繋がる一大勢力です。


    第8章は「めくるめく春画の名品」。男女の営みを描いた春画は、名だたる多くの浮世絵師が手がけています。春画は大衆向けの版画もありますが、その性質上、貴人からの注文制作も多く、肉筆画の名品も少なくありません。葛飾北斎の《春愁図》と《閨中交歓図》は、新発見の作品です。


    8章を除くと展示はほぼ年代順で、美人画をテーマに浮世絵史を通覧できる構成。浮世絵の流れを理解する上でも、意義深い展覧会だと思います。


    美術館は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、現在休館中ですが、全作品(春画も含む)の解説付図録は、公式サイトでネット販売中です。


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2020年4月4日 ]


    ※一部の作品は前後期で展示替えされます。



    会場
    会期
    開催中止 前期:4月4日(土)~4月26日(日) 後期:4月28日(火)~5月17日(日)
    会期終了
    開館時間
    特別展期間中:午前10時~午後6時(金曜のみ午後8時まで)
    公募展・小中学生絵画展・サロン展期間中:午前9時~午後5時
    最終入館はいずれも閉館30分前までです。
    休館日
    月曜日(ただし5月4日は開館)、5月7日(木)
    住所
    東京都渋谷区松濤2-14-14
    電話 03-3465-9421
    公式サイト https://shoto-museum.jp/
    料金
    一般500円(400円)、大学生400円(320円)
    高校生・60歳以上250円(200円)
    小中学生100円(80円)
    ※( )内は団体10名以上及び渋谷区民の入館料
    ※土・日曜日・祝休日は小中学生無料
    ※毎週金曜日は渋谷区民無料
    ※障がい者及び付添の方1名は無料
    ※リピーター割引あり
    展覧会詳細 いっぴん、ベッピン、絶品! ~歌麿、北斎、浮世絵師たちの絵画 詳細情報
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