「花」(Flower)と「景」(-scape)を混み合わせた造語「FLOWERSCAPES(フラワースケープ)」が展覧会のタイトル。
本来は、昨年佐倉市で予定されていた「国際へリテージローズ会議」にあわせて企画されていましたが、震災の影響で会議も展覧会も延期に。一年後の開催となりました。
SECTION 2「The Pop Garden」会場は9セクション。作家にフォーカスしたセクションや、花の絵画を集めた仮想コレクターの部屋など、構成もユニークです。
SECTION 4「仮想コレクターF氏の部屋:花の静物画の変遷をたどる」目玉のひとつが杉浦非水(すぎうらひすい)の《非水百花譜》。大正時代に三越の図案部でポスターのデザインなどを手がけた杉浦非水の代表作でもあり、それぞれの特徴を見事に描写した花の絵がずらりと並びます(※会期の途中で展示替えがあります)。
SECTION 7「杉浦非水:眼の記録、百花の図譜」SECTION 8は、まさに百花繚乱。岸田劉生、藤田嗣治、ローランサン、ルノワール、ジョージア・オキーフ…。花の扱い方も、その表現方法もさまざまです。
ホセ・マリア・シシリアの《衝立・小さな花々II》は、蜜蝋の支持体に油彩で花を描いた作品。花びらの間から見える光を吸い込むような乳白色が印象的でした。
ホセ・マリア・シシリア《衝立・小さな花々II》ぜひ手にとっていただきたいのが、作品カタログです。作品と作家の解説は一般的な図録と同様ですが、DIC川村記念美術館と本カタログを制作した美術出版社のスタッフを対象にした「花の絵画」についてのアンケートがユニーク。良い意味で展覧会図録のイメージを覆す、楽しい企画です(ミュージアムショップで販売中。2,100円)。
千葉県佐倉市にある
DIC川村記念美術館。豊かな自然に恵まれた広い敷地には数百メートルにわたって散策路が続き、花の展覧会にはピッタリの雰囲気です。
お天気が良い日にお出かけください。(取材:2012年4月27日)
| | 非水百花譜
杉浦 非水 (著), 金子 賢治 (監修) 武田ランダムハウスジャパン |