いけばなの源流、池坊。池坊専慶がたてた花が京洛中の人気を呼んだと記されたのは、1462年のことです。550年の節目となる今年、池坊は「いけばな池坊550年祭」として全国規模で多彩な行事やイベントを行います。
日本橋高島屋で開催される記念の特別展は、二部構成です。第一部「夜明け」では550年の歴史を、現代から室町時代までさかのぼるかたちで紹介。第二部「世界をいける、そして未来へ」では、世界の国や都市をイメージした作品や、いけばなを現代の暮らしにいかすための様々なスタイルを展観します。
取材したのは開幕前夜。最終設営の真っ最中で、続々といけばながお目見えしていました。
いにしえの屏風に描かれたいけばなを再現するなど、歴史ある池坊ならではの展示が目をひきます。
本展最大の見ものが、豊臣秀吉を魅了した伝説のいけばな「前田邸大砂物」の復元展示。1594(文禄3)年に、豊臣秀吉の御成を迎えた前田利家邸の大広間に初代池坊専好がいけ、「池坊一代の出来物」と称された伝説のいけばなを、当時と同じスケールで再現したものです。
幅7メートルを超えるという大作。当時と同じように背後に20匹の猿を描いた4幅の軸が掛けられ、猿が松でたわむれているように見せています。
前田邸大砂物日本のいけばなの歴史そのものといえる、池坊。次期家元には歴代で初の女性後継者となる池坊由紀さんが決定しており、これからの池坊にも大きな注目が集まっています。(取材:2012年5月30日)