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    レポート
    シャルダン展 静寂の巨匠
    三菱一号館美術館 | 東京都
    知られざる巨匠の初展覧会
    フランスを代表する静物・風俗画家のジャン・シメオン・シャルダン(1699~1779)。ヨーロッパではフェルメールに匹敵する人気・評価を得ていますが、日本での知名度は高いとはいえません。「限定された情報に人々の興味が集中しがちなこの国特有の偏向した現象」(高橋明也館長)に警鐘を鳴らす三菱一号館美術館で、注目の展覧会がはじまりました。
    初期の静物画。狩猟の獲物を描いた2点
    《肉のない料理》《肉のある料理》
    《錫引きの銅鍋》《銅の大鍋と乳鉢》
    風俗画
    右はシャルダンの作品としては例外的に大きい《画家ジョゼフ・アヴェドの肖像、(別名)錬金術師》
    《デッサンの勉強》《良き教育》
    《桃の籠とぶどう》《すももの籠》
    《水差しとフロマージュ・ブランのある静物》《水差しときゅうりとさくらんぼ》
    会場入口
    時おり数点の作品が来日するものの、まとまった個展としてはわが国で初めてとなるシャルダン展。監修はルーヴル美術館名誉館長のピエール・ローザンベール氏が務めました。

    ローザンベール氏は、シャルダン研究の世界的権威。シャルダン没後200年にあたる1979年にパリで開催してアメリカに巡回した大展覧会は、後のシャルダンの評価を決定付けました。



    「シャルダン」と聞くと消臭芳香剤をイメージする人がいるかもしれませんが、間違いではないので大丈夫。1971年にエステー化学工業(現エステー)が発売したシャルダンは、画家のシャルダンから命名されたのです(ただしスペルは違います)。当時一般的でなかった香りの新製品を発売するにあたり、安らぎを感じさせるシャルダンの絵にあやかりました。

    確かに、描かれているものはとても静かな風景。「静寂の巨匠」という展覧会のサブタイトルがしっくりとはまります。



    シャルダンは29歳でアカデミーに認められ、静物画や風俗画の名手として称えられました。晩年には息子が自殺するなどいくつかの不幸があったものの、比較的裕福な生涯だったといえます。

    没後は急速に忘れられていったシャルダンに再び注目が集まったのは、19世紀になってから。フェルメールを再評価した評論家のトレ=ビュルガーが、シャルダンにも着目したのです。

    その評価は徐々に高まり、ミレー、マネ、セザンヌなど19世紀の多くの画家がその影響を受けました。



    展覧会のメインビジュアルとして大きく使われているのが《木いちごの籠》。代表作の《羽根を持つ少女》とともに個人像のため通常は非公開ですが、今回は2点とも初来日しました。

    籠にピラミッド状に積まれた木いちご、手前にはカーネーションと水の入ったコップ、右側には桃とさくらんぼ。静物画から風俗画を経て、また静物画に回帰した時代の作品で、晩年の最高傑作と言われています。


    《木いちごの籠》など

    ちなみにもう1点の傑作《羽根を持つ少女》の方は、取材での撮影はおろか、チラシや公式サイトでの使用も禁止。まさに会場で見るしかないため「心のシャッターを押して」見てほしい、との説明がありました。

    会期が来年1月6日(日)までと、長めなのも嬉しい限り。平日の木・金曜日対象の“アフター6”割引もあるので、デートにもオススメです。(取材:2012年9月7日)

    シャルダン (新潮美術文庫 15)

    黒江 光彦 (著)

    新潮社
    ¥ 1,155

    料金一般当日:1,500円/“アフター6”割引 1,000円 → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2012年9月8日(土)~2013年1月6日(日)
    会期終了
    開館時間
    10時~18時 / 金(祝日を除く)のみ10時~20時
    ※10/5より開館時間が変更になりました。
    ※いずれも最終入館は閉館30分前まで
    休館日
    月曜日休館(但し、祝日の場合は開館し、翌火曜日休館 / 12月25日は開館)
    住所
    東京都千代田区丸の内2-6-2
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://mimt.jp/chardin/
    料金
    【当日券】
    大人 1500円 / 高校・大学生 1000円 / 小・中学生 500円
    【前売券】
    大人 1300円
    ※前売券等の詳細はホームページをご覧下さい。
    展覧会詳細 シャルダン展 静寂の巨匠 詳細情報
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