毎年、東京都写真美術館で開催されている世界報道写真展。今年も2011年6月11日から始まりました。この展覧会は、オランダ・アムステルダムで毎年行われる「世界報道写真コンテスト」の入賞作品を集めた展覧会で、実に今年で54回目。1年間を通じて45の国と地域、約100会場で巡回されるという世界最大規模の写真展でもあります。
今年は約5,700人の写真家から10万8千を超える作品の応募があり応募点数は過去最高を記録。うち54人が入賞を果たしました。残念ながら今年は日本からの入賞者はいませんでしたが、世界的な写真展が日本で見られる機会でもあり、いつも大きな注目を集めています。
冒頭でご紹介した今年の世界報道写真大賞は、南アフリカの女性写真家ジョディ・ビーバー氏による写真。暴力を振るう夫から逃げたアフガニスタン人のビビ・アイシャが、タリバーンによって「逃亡の罪」を宣告され、命令によって耳と鼻を削ぎ落とされた、というものです。ビビはその後保護され、カウンセリングと再生手術を受けたそうです。
ハイチ大震災での悲劇的な写真が続きますその他にも中米ハイチでの大震災、タイ・バンコクでの武力衝突、ワールドカップでの熱狂など、時代を切り取った写真がずらり。目を覆うような凄惨なシーン、思わず微笑んでしまうような組写真など、まさに展覧会のキャッチコピーにある「魂に響く写真のチカラ」を思い知らされます。
今回の報道写真展では、東日本大震災の写真もスライドショーで上映されていました。今回の展覧会は2010年に撮影された写真が対象ですので、今年3月に起きた東日本大震災の写真は該当しませんが、あるいは来年の報道写真展では、震災の写真も数多く展示されることになるかもしれません。
「写美(しゃび)」の愛称で知られる、東京都写真美術館。1995年に日本で初めての写真と映像に関する総合的な美術館として、恵比寿ガーデンプレイスにオープンしました。JR恵比寿東口から動く通路・スカイウォークを利用して徒歩7分。ガーデンプレイスはベンチのスペースも多いため、天気がよい日はお弁当を持ってお出かけ下さい。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年6月10日 ]