初代三井高利(たかとし)から茶の湯に親しんでした三井家。展覧会では北三井家と室町三井家旧蔵の楽茶碗を中心に紹介していきます。
まず会場冒頭は花入、窯、香炉などの茶道具から。奥に進むと、井戸や三島などの高麗茶碗もお目見えします。
展示室1と《大井戸茶碗 織田有楽所持》《古三島茶碗 二徳三島》楽茶碗は、展示室5と6で紹介されています。
千利休の創意を受けて、長次郎が造り始めたとされる楽茶碗。長次郎は轆轤を用いずに手捏(てずく)ねで形を整え、京都市中の家屋内の窯で焼成しました。最初は赤土に透明釉が掛けられた赤茶碗、数年後に黒茶碗が焼かれるようになったと思われています。
展覧会目玉の重要文化財《黒楽茶碗 銘俊寛》も、長次郎作。一切の装飾を廃した、漆黒のずんぐりとしたフォルム。侘茶そのものと言えるような器です。
《赤楽茶碗 銘鵺》は楽家三代の道入(通称のんこう)による茶碗。道入の赤楽茶碗としては最も評価されている逸品です。
展示室5と、重要文化財《黒楽茶碗 銘俊寛》長次郎作、《赤楽茶碗 銘鵺》道入作展示室4では屏風や掛け軸も展示されています。
尚信、常信、美信など狩野派の絵師とともに、円山応挙の作品も3点。取材に訪れたのは国宝《雪松図屏風》の展示前ですが、展示室いっぱいに大作が並び、なかなかの迫力です。
展示室4国宝《雪松図屏風》の展示は1月4日(土)から。墨と金泥と紙の白色のみで、堂々とした雪の中の松を描いた応挙の代表作は、新年に改めてこのページでご紹介いたします。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年12月3日 ]
年が明け、再び伺ったのは平日ですが、三井記念美術館の所蔵品の中でも特に名高い逸品を見ようと、多くの人が訪れていました。
国宝《雪松図屏風》円山応挙筆三井家と親交があった円山応挙の代表作である国宝《雪松図屏風》。右隻には老松、左隻には若木を、輪郭線を用いない没骨技法で描いています。
紙の白色を活かしながら、松葉を徐々に濃い墨で描くことによって、雪に覆われた松の姿を巧みに表現。松の足元の金泥は、雪に反射する光を見るようです。
国宝《雪松図屏風》をこの時期に公開するのは
三井記念美術館の定番ですが、その存在感は神々しく思えるほど。時を忘れ、椅子に座ってゆっくりとお楽しみください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年1月7日 ]