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    レポート
    人間国宝展 ― 生み出された美、伝えゆくわざ―
    東京国立博物館 | 東京都
    研ぎ澄まされたわざの数々
    身近な日用品の中にも美しさを求めていた日本では、独自の工芸技術が発展していきました。現代の工芸家の頂点である重要無形文化財の保持者(人間国宝)104名の作品を集めた展覧会が、東京国立博物館で開催中です。
    (右手前)野口園生《月の出》
    会場入口
    (左手前)重要文化財《芦屋浜松図真形釜》 / (右奥)角谷一圭《馬ノ図真形釜》
    (左手前)平田郷陽《抱擁》
    (右手前)国宝《火焰型土器》
    (右から)稲垣稔次郎《木綿地型絵染 野草笹匹田模様着物》 / 山田貢《紬地友禅着物「夕凪」》
    (右から)齋田梅亭《截金波頭文飾筥》 / 江里佐代子《截金彩色飾筥「花風有韻」》
    (左から)島岡達三《塩釉象嵌縄文皿》 / 金城次郎《線彫魚文抱瓶》 / 濱田庄司《白釉黒流掛大鉢》
    (右手前)徳田八十吉(三代)《耀彩壺「恒河」》 / (左奥)堀柳女《黄泉比良坂》
    文化財保護法で「演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの」と定められている無形文化財。指定された重要無形文化財の保持者が、いわゆる人物国宝です。

    本展では工芸技術部門の人間国宝すべてが対象(物故者のみ。刀剣研磨、手漉和紙、保持認定団体をのぞく)。「古典への畏敬と挑戦」「現代を生きる工芸を目指して」「広がる伝統の可能性」の三章で、研ぎ澄まされたわざの数々を紹介していきます。


    会場

    展覧会の特徴のひとつが、工芸の古典の名品と、人間国宝の代表作を並べて見せる展示。人間国宝は古典の魅力をどのように継承し、昇華していったのか。比べて楽しむことができます。

    桃山茶陶を代表する重要文化財《志野茶碗 銘広沢》。独特の歪があり、手に取るとすっとおさまるその姿は、多くの作家を魅了し続けてきました。

    その隣は、丸みがあって柔らかな印象の《志野茶碗》。美濃の桃山茶陶を再興させた荒川豊蔵(1894-1985)の作で、昭和29(1954)年に開かれた第1回日本伝統工芸展に出品されました。


    重要文化財《志野茶碗 銘 広沢》と、荒川豊蔵《志野茶碗》

    東京国立博物館で現代作家の作品を展示するのは珍しい企画ですが、会場中央には同館ならではといえるコーナーも。日本工芸史を代表する国宝・重要文化財を、東京国立博物館研究員が選びました。

    展示されているのは、教科書でもお馴染みの国宝《火焰型土器》など。いつもは考古遺物や歴史資料として紹介されるものが、工芸美術の文脈で並ぶことで、別の一面も見えてきます。


    日本工芸史を代表する国宝・重要文化財の展示も

    会場後半には「伝統」という概念に収まりきらない作品が次々に登場します。

    鮮やかなグラデーションの九谷焼は、徳田八十吉(三代)《耀彩壺「恒河」》。横から見るとその際の薄さに驚く木彫人形は、野口園生《月の出》。大波を竹工芸で表現した、生野祥雲斎《竹華器「怒涛」》。

    受け継がれてきたわざを用いて、現代に生きる工芸家は何ができるのか。挑戦的な作品が並ぶエリアは、現代美術の展覧会のような趣きです。


    現代美術のような作品が並びます

    企画展で紹介されているのは物故者のみですが、平成館一階の企画展示室では現在も活躍中の人間国宝53名(手漉和紙を除く)の作品も紹介中。あわせて見ることで、人間国宝の作品が網羅できます。あわせてお楽しみください。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年1月14日 ]

    人間国宝事典 工芸技術編

    大滝 幹夫 (監修), 南 邦男, 柳橋 眞

    芸艸堂
    ¥ 3,150

    料金一般当日:1,000円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    東京国立博物館 平成館 特別展示室 第3・4室
    会期
    2014年1月15日(水)~2月23日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~18:00
    ※総合文化展は17:00まで
    ※時期により変動あり
    いずれも入館は閉館の30分前まで
    休館日
    月曜日休館
    住所
    東京都台東区上野公園13-9
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.nichibisai.jp/
    料金
    「クリーブランド美術館展」「人間国宝展」共通観覧料金
    一般 1,600(1,400)円/大学生 1,400(1,200)円/高校生 1,000(800)円
    ※()内は20名以上の団体および前売り料金
    ※中学生以下無料。障がい者とその介護者1名は無料。(入館の際に障がい者手帳などを提示)

    「人間国宝展」単独観覧料金
    一般 1,000(800)円/大学生 800(600)円/高校生 600(400)円
    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※単独鑑賞券は前売り販売がありません
    展覧会詳細 人間国宝展 ― 生み出された美、伝えゆくわざ― 詳細情報
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